団体や協会を設立して、普及を図る食材がある。手に入りやすい食材から、市場にはほとんど流通しない希少食材まで、その魅力を改めて深掘りするとともに、さまざまな取り組みや研究について紹介する
カリッとした食感とバターのような風味が楽しめるアーモンド。その豊かな味わいに加えて、スライスやスリバードなど他のナッツと比べても多様な形状で利用できる用途の広さが大きな魅力。カリフォルニア産アーモンドは、クセのないオーソドックスな味わいが特徴で、一大産地ゆえの安定した供給とリーズナブルな価格も含め、扱いやすさは随一。比較的水分が少なく油分が多いため、長期保存も可能だ。
アーモンドは栄養価が高く、食物繊維や植物性たんぱく質などさまざまな栄養素を含むが、ビタミンEがとりわけ多く、食品の中でも筆頭に挙げられる。〝若返りのビタミン〞とも呼ばれる高い抗酸化作用を持つビタミンEを手軽に摂れると日本を含む各国で女性の支持が厚い。また、ここ数年のトレンドであるグルテンフリーやラクトースフリー、プラントベースの視点からも意識せずにはいられない食材で、食事に配慮する方の代替食品としても人気を集める。
農業先進国アメリカの中でも、カリフォルニアは環境問題や食への意識が非常に高い。カリフォルニアで採用された厳しい基準が、後にアメリカ全体へと普及するパターンも少なくなく、アメリカの農業を牽引している地域と言える。その中で、世界生産量の80%以上を占め、州で生産される農産物で輸出額トップを誇るカリフォルニア産アーモンドは、環境や農業へ大きな影響力を持つことを自負する。その責任からアーモンド農家と製造加工業者は、40年以上前から累計約88億円を科学的研究に投入。農業効率を高め、環境への影響を最小化してきた。そして、新たな取り組みとして2019年に「2025年に向けたアーモンド農園の目標」を発表。水使用量削減、廃棄物ゼロ、病害虫管理、大気環境を4つの公約に掲げ、サステナブルな栽培の見本となるべく真摯に取り組む。
カリフォルニア
アーモンド協会
https://www.prune.jp
約7,600のアーモンド生産者と約100の加工業者を代表するカリフォルニア・アーモンド協会は、1950年に設立。アーモンドに関する知識の普及と品質管理を使命に世界11カ国に拠点を置き、マーケティングや研究を行い、農家をサポートする。
text: Yuki Kimishima
本記事は雑誌料理王国319号(2021年12月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。