今、タイの飲食業界でホットトピックスとなっているのが「大麻草」を取り入れたメニュー開発。今年1月から、タイハーブの医療・研究機関として名高いチャオプラヤ・アバイブーベ国立病院のレストランで大麻料理の試験提供が始まり、連日大盛況に。現在はその大麻料理のレシピをe-bookで無料公開し、一般の飲食店を対象とした大麻料理講座の開催準備が着々と進められている。
タイでは2018年に、アジアで初めて医療・研究目的での大麻使用が合法化され、てんかんやパーキンソン病などの治療に使われてきた。さらに、タイ保健省と食品医薬品局が中心となり、国の新しい経済作物としての大麻を近年推進している。 2020年12月には、花とつぼみを除く大麻植物の大部分が国の指定麻薬リストから除外された。この決定により、調理や健康関連商品への商業利用も可能になったことから、大きな話題を集めている。ただし向精神作用のあるTHCは0.3%以下に制限。利用にはライセンス取得が必要だ。
3月5~7日には、タイ東北部ブリーラム県主催・タイ保健省の後援による大規模な大麻と麻の展示会「360 Cannabis &Hemp for the People」が開催された。前述のアバイブーベ国立病院をはじめ、国から認可を受けた事業者が、あらゆる〝カンナビス・フード〞を発表。健康食品としての大麻活用をPRした。
しかし、タイでも娯楽目的での大麻使用は禁止。混同や誤解を避けるために、正しい知識の啓蒙活動や人材トレーニングが飛躍のとなるに違いない。
COVID-19禍にあって、タイの飲食業界では食品ギフトが堅調に売り上げを伸ばしているという。
特に1月~2月のタイは、春節とバレンタインという大きな商戦の山場であることから、飲食店では様々な限定ギフトが売り出されていたが、今年はプレミアム志向のチョコレートに人気が集まっていた。
人気の和スイーツカフェ「Kyo Roll En」のオーナーパティシエDej Kewkacha氏は、今年のバレンタイン商戦にタイ産のオーガニックカカオを使用した日本発祥の「生チョコ」を考案。親交の深いミシュラン1つ星「LE DU」のTonシェフとの共同開発で、グルメなタイ人を中心にオーダーが殺到していたそう。
Dej氏が今回チョコレートの原材料に選んだのは、チェンマイ・メージョ大学のSanh La-ongsri准教授と彼の妻が2005年にスタートした、タイで初めての国産チョコレートブランド「MarkRin Chocolate」のオーガニックカカオ。Sanh氏の30年以上に及ぶカカオ研究から得たノウハウをチョコレート作りに生かし、国内70県以上の地元カカオ農家と提携する同ブランドでは、高品質のタイ産オーガニックカカオをシェフに提供している。
今回の「生チョコ」製品化にあたって、Dej氏とTon氏の両シェフは共に農場へ足を運び、自分たちの手でカカオポッドを選んで収穫まで行った。〝ビーン・トゥ・バー〞よりさらに進んだ〝シード・トゥ・バー〞へ。タイ産カカオのさらなる発展へ期待が高まるコラボレーションだった。
宮崎麻実
2019年よりバンコク在住のエディター兼ビデオグラファー。写真と動画でバンコクの最新トレンドを伝えるビジュアルシティガイド「dii bangkok」をスタート。
本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。