弱冠32歳でエグゼクティブシェフに就任。世界最高の名を背負う重圧は大きかったが、スタッフ全員の力で成り立っていると実感できた。「料理と接客の両方が大事。サービスによってお客さまは笑顔になる」
ミシュラン二ツ星を獲得するシェフが繰り返すのは「チームワーク」の言葉。事実、生き生きとしたスタッフの姿が心に残る。5年たった今もひと皿ごとにプレッシャーを感じている。だが、厨房にいる時間が何より楽しいと目を輝かせる。この姿勢とチームワークが、星を守り続けるのだ。
A.「期待以上」の満足感を与えるもの。某テーマパークでは掃除が行き届き、どのスタッフも笑顔で働いています。あれこそ最高のおもてなしですよね。テーブルクロスにしわがないとか、隅々まで気配りが行き届いているのが肝心。料理の魅力を何倍にもしてくれるのがサービスの力ですね。
A.一番はお客さまに喜んでもらうこと。そのために何かを諦めたり、優先順位を下げることがあってはいけない。どんな状況もチームで補えるとスタッフを信頼しているし、僕自身も要望にはすべて応えるつもりでいます。もし無理でも、その理由を真摯に説明するのもサービスだと思うんです。
A.「ピエール・ガニェール」の料理はコースの皿数が多いので、円滑に提供するためにはチームワークが重要です。また、シェフ・ガニェールについて話すことも、当店ならではのサービス。新たな料理ができるプロセスはもちろん、彼の人柄や考え方も伝えたり、来日時にはできるだけお客さまと直接話をしてもらっています。
A.会話を重ねたお客さまと親しくなることもありますが、店にいる限りは「お客さまと料理人」という関係性を忘れてはいけないと心に留めています。それは家族やスタッフが来店した時も同じ。あくまでもお客さまとして敬意を払います。
新しいレセプション担当が長年のお客さまに気付けなかったことがあります。完全に僕たちのコミュニケーション不足。後日あらためてお詫びのメールを送りましたが、チームワークの重要性を痛感しました。失敗から学ぶことも多いですね。
Yosuke Akasaka
調理師専門学校卒業後に渡仏。4年間修業を積む。パリの「ピエール・ガニェール」勤務を経て、同店の東京・青山への出店を機に帰国。2010年の現店オープン時から中核を担い、2011年エグゼクティブシェフに就任。
ピエール・ガニェール
Pierre Gagnaire
東京都港区赤坂1-12-33
ANAインターコンチネンタル ホテル東京 36F
君島有紀=取材、文 岩橋仁子=撮影
本記事は雑誌料理王国264号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は264号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。