2024年7月25日、東京でチリ柑橘類委員会の主催により、チリ産レモンのプロモーションイベントが開催された。このイベントには、チリ産レモンの消費促進とその品質・特性の認知向上を目的として開かれ、多くの業界関係者が参加した。
チリはアタカマ砂漠、アンデス山脈、パタゴニア地方、太平洋に囲まれた地理的条件のおかげで、世界有数の食品輸出大国となっている。中でもレモンは総輸出量67,544トン(2023年)を誇り、その約25%に当たる17,028トンをアジア最大の貿易相手国である日本が占めている。また、チリ柑橘類委員会モンセラート・バレンズエラ常任理事が「チリ産レモンの最大の利点は日本の夏に旬を迎えることです。チリの高品質な柑橘類は、爽やかなレモンの需要が高まる6月中旬から10月まで出回り、この時期の日本の生鮮レモンの総輸入量の70%以上をチリ産が占めています。」と述べるように、南半球で季節が逆というのも大きなメリットだ。
その品質の高さから、世界中のシェフやバーテンダーからも愛用されており、特にヨーロッパ市場では、その均一なサイズと美しい外観が評価され、高級レストランやバーでの使用が増えている。また、環境に配慮した農法で栽培されており、サステナビリティの観点からも注目されている。
日本国内でも徐々に認知されつつあり、刺身やサラダのような生鮮食品のドレッシングに使用されるほか、カクテルやデザートにも利用され、その汎用性の高さが評価されている。
会場となったストリングスホテル東京インターコンチネンタルの総料理長オリヴィエ・ロドリゲス氏はチリ産レモンについて「中型サイズで果汁を多く含み、種が少なくて皮が薄いのが特徴」と述べ、母国であるフランス料理にとどまらず、イタリア料理やタイ料理など様々なエッセンスを取り入れた料理や日本のあんみつにインスパイアされたデザートなどバリエーション豊かなチリ産レモンの食べ方を提案してくれた。
レモンというとどうしても酸味や香りにフォーカスされがちだが、実際に試食して感じたのはロドリゲス氏も語るように「皮の薄さ」だ。皮自体には苦みがあるが、これが薄いことでその塩梅がちょうどよく、料理に使うと良いアクセントになっている。さらに種も少なく、丸ごとすべて使い切れること、もっと言えば食べ切れることは生ゴミの削減にもつながる。
飲料のためやフレーバーを付与するための添え物としてではない、食材そのものとしてのチリ産レモン。今後のさらなる普及やメニュー展開にも注目だ。
チリ果物輸出協会(Frutas de Chile)
https://www.asoex.cl/
取材・文:小林乙彦(料理王国編集部)