「イタリアンの弱点はパスタや前菜に比べてメインが弱いこと。薪焼きを取り入れたことで、そこは解消できたように思います」と田窪さん。
3度目のリニューアルで辿り着いたのは、カウンター越しに薪火で豪快に肉を焼く薪焼きというスタイルだ。
「それまでは炭焼きがベストだと思っていました。でも『ヴァッカロッサ』の渡邊さんが焼く薪焼きの肉を食べて、違いに衝撃を受けました。
肉汁の熱い肉に久々に出合った気がして」そこから約1年間の構想を経て、リニューアルを決意。店の定休日を利用して渡邊さんの元で研修を重ね、薪焼きの技術を学んだ。
「タクボ」では、コースの流れはそのままに、メインが薪焼きという構成で2種類のコースを用意。以前の店からの常連客に加え、肉好きの新規客、狙っていた男性のみでの来店も増えているという。主軸となる肉は自身の名が入った「十勝田くぼ牛」。
黒毛和牛とホルスタインの交雑種で、赤身とサシのバランスがよく、独自の基準をクリアしたものだけを仕入れる。また、熟成期間を置かずフレッシュな状態の肉が、薪焼きに適していると田窪さんは言う。「焼く温度よりも火の当たり方を見ています。
均一ではない火に揉まれながら、水分を逃さずやわらかくジューシーに
焼き上げるのが、薪の面白さであり、難しさですね」
青山「アル・ソリト・ポスト」、広尾「アロマフレスカ」で修業の後、2007年に 「リストランティーノ バルカ」を広尾にオープン。2010年、恵比寿に移転し「アーリア ディ タクボ」としてリニューアルオープンし、イタリアンリストランテとして人気を博す。2016年4月、3度目のリニューアルを経て、メイン料理を薪焼きで提供する「タクボ」を代官山にオープン。
タクボ
TACUBO
東京都渋谷区恵比寿西2-13-16
ラングス代官山1F
☎03-6455-3822
● 12:00~15:30(13:00 LO、水土祝)
18:00~25:00(23:00 LO)
●日休(月曜祝日の場合は日曜営業、月曜休)
●コース 9500円~
●20席
tacubo.com
田中英代=取材、文 林 輝彦=撮影
本記事は雑誌料理王国268号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は268号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。