料理王国8月号の特集、「オーベルジュ進化系」。熊本県南阿蘇村のオーベルジュ、山小屋ホラホーの編集こぼれ話。


取材先で出会った誌面で紹介しきれなかった様々な事柄をお伝えする野々山の編集長日記。料理王国8月号の特集「オーベルジュ進化系」の6件の取材先から、スタッフが届けてくれた編集こぼれ話。シリーズの最後は熊本県南阿蘇村の「山小屋ホラホー」の取材から。ライターの佐藤さんの便りが届きました! 熊本地震や集中豪雨で甚大な被害を受けながらも阿蘇を離れることができなかった小山鉄平シェフの山に対する思いを。

8月号の表紙になった季節野菜の菜園風。今、どのような野菜が採れているかがわかるスペシャリテ。

8月号の記事では震災を機に料理が変化し、オーベルジュとなった経緯をご紹介しましたが、ハード面(建物)の変遷までは書けなかったので、こぼれ話としてご紹介します。

ペンション時代の「山小屋ホラホー」は、洗面所やトイレは共同でした。朝起きると宿泊者が洗面所で顔を合わせ、「おはようございます」と挨拶し合うアットホームな雰囲気も魅力でした。

2022年8月のリニューアルで8部屋から4部屋にし、各部屋に念願のトイレと洗面を完備。「次は部屋にお風呂をつけたいですね」とマダムの直子さんが言うように、お風呂はありませんが、昔から近所の温泉に行くのが常連さん馴染みのコース。残念ながら一番近い温泉は震災後、廃業してしまいましたが、それでも阿蘇にはまだ多くの日帰り温泉が点在しています。

そして1階メインダイニング横には、以前はプレイルームがあり、先代がドイツから輸入したドイツ雑貨や絵本が並び、子供たちの遊ぶ声が響いていましたが、リニューアル後はレセプションに。これはコロナ禍に入ってから感染を恐れた子連れ客が激減し、「ただゆっくりしたい」という大人が増えるなど、客層が変化したことから、「大人の宿」に舵を切ることにしたそう。

中学生以下のお子様はお断りすることでプレイルームはなくなりましたが、その分、クレソンの花やスパイス、酒粕を使うデザートなど、「子供も食べられる料理に仕上げなくていい分、クセのある素材も使えるようになりました」と小山シェフ。よりシェフの個性を発揮できるようになったのです。

リニューアルで8部屋から4部屋にし、各部屋に念願のトイレと洗面を完備。客室にテレビを置くことをやめました。
小山シェフ手作りの燻製小屋。大人っぽくなったコース料理には欠かせません。

そんな大人っぽくなった「山小屋ホラホー」のコースですが、一風変わっているのが、誌面ではご紹介できなかったメインディッシュの後に、なんとひと口カレーを出すコース構成。

フレンチでシメにカレー!?それまでの余韻をスパイスで壊すのでは?と思うでしょうか?
ところが、まるで出汁のようなスープとスパイスの清涼感がすっきりとしたお茶漬けのようなスープカレーで、最後に口の中をさっぱりさせてくれるのです。

これは熊本県出身で、「ハウステンボス」で修行し、現在は京都で人気店を営む「洋食おがた」の店主・緒方博行さんが、熊本地震の復興支援として、ホラホーまで足を運び、レシピと作り方を教えてくれたカレー。

震災直後は道路工事関係者の宿場として復興を支え、営業再開までには一年を要した「山小屋ホラホー」。「宿の再建に役立てて」という緒方さんの気持ちが「心から嬉しくて、これからも作り続けたい大切な料理です」と話します。

「洋食おがた」の店主・緒方博行さんが、熊本地震の復興支援として、ホラホーまで足を運び、レシピと作り方を教えてくれたカレーが、コースの最後に。

text:Ryoko Sato photo: Katsuo Takashima

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