世界各地で環境負荷軽減が叫ばれるなか、植物由来原料を使った代替乳製品を開発するカリフォルニア発の「エクリプス・フーズ」が注目を集めている。ミシュランシェフでもあるCEOがこだわった「おいしさ」の秘密とは?
「eclipseco(エクリプスコ)」は、米国カリフォルニア州で植物由来の代替乳製品を開発・製造・販売するエクリプス・フーズが提供するプラントベースアイス。2024年3月に日本での取り扱いがスタートしたこの商品は、100%植物性原料を使用、サステナブルであること、代替乳製品ながら乳製品に勝るとも劣らないおいしさや満足感があること、ミシュランシェフが開発を行っていることなどが注目を集め、一般消費者をはじめ、料理人からも高い評価を受けている。
エクリプス・フーズの創業者の一人であるトーマス・ボウマン氏は、レストランでシェフを務めていた時、美食の作り手として食材の環境負荷や安心・安全な食を考え、発信していくことの大切さに目覚め、スタートアップ業界への参画を決意したという。「当時、私自身に子どもが生まれたことも大きなきっかけでした。よりサステナブルな食のプラットフォームを彼らが生きる次世代に残し、環境に良くておいしいものを世の中に生み出したい、という思いが私を動かしたのです」。
同社では、独自の特許技術を活用してアイスの製品開発を行う。原材料は、干ばつに強くCO2の排出量の少ないジャガイモ、キャッサバ、トウモロコシ、菜種など。複数の植物原料の成分を上手に組み合わせることで、乳製品に限りなく近い味わい、機能性を持った代替乳製品を生み出すことができる。
近年は豆乳アイス、オーツやアーモンドのミルクなどの代替乳製品も多く見かけるようになったが、単体原料のみの代替乳製品は、原料そのものの特徴が前面に出すぎてしまい、好き嫌いが分かれることもある。原料ありきではなく、乳製品そのものの味わいを分析し、その成分に近いものを複数の植物由来原料から作り出すことが「エクリプスコ」のおいしさの秘密でもあるのだ。この技術は国際特許を取得しており、ミルクやチーズ、ヨーグルトなどあらゆる乳製品を代替乳製品として開発することができるという。また、同社では創業者のボウマン氏だけではなく、製品開発責任者のベン・ロッシェ氏も元ミシュランシェフの経歴を持つ。優れたプラントベースの製品であると同時に、シェフ達が「食として
のおいしさ、満足感」を第一に追求し、商品作りを行っていることが、プロの料理人からも評価される大きなポイントとなっている。
今後、日本市場に向けては、日本の食材を使ったフレーバーの開発、業務用のアイス原料「エクリプス・ブレンド」の提供なども行っていく予定。これからのレストランにおける、デザートアイテムの選択肢として寄せられる期待は大きい。
トーマス・ボウマン
Thomas Bowman
数々のミシュラン星付きレストランでのシェフ経験を持ち「Zagat30 Under30」も受賞。自身の料理人としての知見を生かし、サステナブルな食のプラットフォームを次世代に残したいという思いから、2019年にエイロン・ステインハート氏と共にエクリプス・フーズを創業。
エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社
https://eclipsefoods.co.jp
text: Nobuko Minagawa