2023年7月6日
「医食同源」の基本となる考え方や食材、スパイスなどを、中国、そして韓国の料理から学びます。今回は、東京・銀座の韓国宮廷料理「尹家 」!
5、6世紀頃に中国から「漢方」が日本へ伝来し、気候や風土に影響を受けながら、この地に馴染み発展を遂げた。同じように朝鮮半島へ伝わり、研究され発展したのが「韓医学」、別名「韓方」であり、その伝統は現在も健在である。「尹家」オーナーシェフの尹美月さんは、そうした医食同源に基づく〝本当〟の料理を食べて欲しいと日本で奮闘している。
日本で韓国料理といえば「焼肉」をイメージする人が多い。もう少し踏み込んでも、「サムギョプサル」などの肉料理、あるいは「キムチチゲ」などの真っ赤な辛い料理を思い浮かべるだろう。しかし尹さんは言う。「韓国料理はただ辛いだけではないんです。韓国の伝統料理は優しい味だ、ということを知らせたい」
むしろ韓国は野菜料理の国と言ってもいいくらい、野菜を食べる。「野菜や果実、山菜などの素材を活かして、身体に良い優しい味をいかに出すかを常に考えています」
韓方薬の考えを駆使して尹さんが調理してくれた「和牛トッカルビ・薬膳サラダ添え」は、ナシやヤマイモを牛肉と和え、ナシをベースにしょうゆ、長ネギ、ショウガを入れたソースを肉団子に塗りながら、炭火で焼き上げるひと皿。肉のやわらかさに驚く。「牛肉とナシの組み合わせは韓国ではテッパン。ナシは肉の毒消しをしてくれるんです」と尹さん。付け合せには高麗人参、ナツメ、松の実、アスパラガスを軽く炒め、季節の野菜を添えた。