2023年6月28日
名古屋の歴史的景観保存地区・白壁に2004年にオープンした、「ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ」。「シャルル・バリエ」「ジャマン」「タイユバン」をはじめ、スイス銀行の金庫を破るよりも難しいと言われたスイスの三つ星「ジラルデ」など、数々の名店で修業を積んだ、北村竜二氏がオーナーシェフを務めている。
ロブションの父とも呼ばれたトゥールの三つ星、シャルル・バリエ氏の元から、ロブション氏自らが腕を振るった伝説のレストラン「ジャマン」、そして「タイユバン」。スイスの三つ星「ジラルデ」ではスーシェフを務めるなど、13年間のヨーロッパ名門での経験を生かして、故郷岐阜県に近い名古屋のミクニナゴヤの料理長を3年間務めた後、独立。
中部電力元会長の邸宅を改装した店は、風情ある佇まい。同じメニューはリクエストがない限り2度は出さないなど、徹底してお客様に合わせたオート・キュイジーヌをモットーとしている。
三つ星揃いの名店での修業の中でも、一番影響を受けたのは「厨房のモーツァルト」と呼ばれたフレディ・ジラルデ氏。同じ地域の他のレストランと重ならないよう、他の珍しい食材をパリから取り寄せて、空港にまで自ら受け取りにゆき、ギリギリにサービスに間に合わせる。シンプルでありながら、その時その時の発想で、素晴らしい組み合わせの料理を作ることに感銘を受けた。既成概念にとらわれない、「スポンタネ」と呼ばれるジラルデ氏の当意即妙な料理スタイルは「同じ料理を出さない」「既製品を使わず、新鮮な食材を使った手作り」という哲学として、グランターブルキタムラに受け継がれている。