ジラルデ氏から受継いだスペシャリテ「鴨のコンフィ」


名古屋の歴史的景観保存地区・白壁に2004年にオープンした、「ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ」。「シャルル・バリエ」「ジャマン」「タイユバン」をはじめ、スイス銀行の金庫を破るよりも難しいと言われたスイスの三つ星「ジラルデ」など、数々の名店で修業を積んだ、北村竜二氏がオーナーシェフを務めている。

名古屋の歴史的景観保存地区・白壁に2004年にオープンした、「ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ」の外観。
「ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ」
提供:Grand Table Kitamura
「ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ」の外観と北村竜二オーナーシェフ。
北村竜二オーナーシェフ

ロブションの父とも呼ばれたトゥールの三つ星、シャルル・バリエ氏の元から、ロブション氏自らが腕を振るった伝説のレストラン「ジャマン」、そして「タイユバン」。スイスの三つ星「ジラルデ」ではスーシェフを務めるなど、13年間のヨーロッパ名門での経験を生かして、故郷岐阜県に近い名古屋のミクニナゴヤの料理長を3年間務めた後、独立。
中部電力元会長の邸宅を改装した店は、風情ある佇まい。同じメニューはリクエストがない限り2度は出さないなど、徹底してお客様に合わせたオート・キュイジーヌをモットーとしている。

「ラ・グランターブル・ドゥ・キタムラ」の店内インテリア。
店内インテリア
提供:Grand Table Kitamura

北村シェフが受継いだジラルデ氏の料理哲学

三つ星揃いの名店での修業の中でも、一番影響を受けたのは「厨房のモーツァルト」と呼ばれたフレディ・ジラルデ氏。同じ地域の他のレストランと重ならないよう、他の珍しい食材をパリから取り寄せて、空港にまで自ら受け取りにゆき、ギリギリにサービスに間に合わせる。シンプルでありながら、その時その時の発想で、素晴らしい組み合わせの料理を作ることに感銘を受けた。既成概念にとらわれない、「スポンタネ」と呼ばれるジラルデ氏の当意即妙な料理スタイルは「同じ料理を出さない」「既製品を使わず、新鮮な食材を使った手作り」という哲学として、グランターブルキタムラに受け継がれている。

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