その名の通り、以前は工場として稼働していた建物を改装したカフェ。
築86年の「工場」は、随所に当時の面影を残しており、歴史的建築物としての価値も高い。ギャラリーやイベントスペースなど、伝統を未来につなぐ試みも行なっている。
築1925(大正14)年。「フトルミン」という乳酸菌飲料などを製造していた工場だったが、80年に操業を停止。創業者のひ孫にあたる喜多和夫さんが、一部を改装し、週末のみカフェとして営業している。できる限り現状維持した内外装や、実際に使われていたガラス瓶や道具をディスプレイし、独特の空間をつくり出している。世界遺産でもある東大寺の裏側に位置し、静謐な時間を過ごすことができるのも魅力だ。 喜多さんは「先祖より引継いだ大切な建物を現在の姿で残し、多くの方に訪れてもらえるように」とカフェを始めた。さらに、「温故知新」「継承」「整理整頓」といった、この場所らしいテーマでギャラリー展示やイベントも開催している。
足を運んでくれた人に喜んでもらいたいと、厳選したスペシャルティコーヒーを丁寧に抽出するほか、パストラミのサンドイッチなど、手作りのおもてなしを感じるドリンクや料理を提供している。
元工場の事務室でのんびり過ごす
工場で宿直や事務をしていた畳の部屋を利用した座敷席。テーブル席よりも落ち着くと人気が高い。雰囲気に合うようにセレクトした雑誌や書籍を置いているので、のんびりと読書しながら過ごすお客も多い。
独自の空気感は時を超えた錯覚
カフェになっている元事務室の入口。奈良の宮大工の手によって建てられたというが、白い窓枠など、大正時代の建物らしい、モダンな雰囲気も感じられる。古い建物好きな人が見学に訪れることも。
工場跡
奈良県奈良市芝辻町543
0742-22-2215
● 金11:00~18:00、土日祝9:00~18:00
● 月~木休
text:Tatsuya Ohgake /photo:Toru Iida
本記事は雑誌料理王国第205号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第205号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。