HACCPの義務化はいつから?開始時期までにすべきことをわかりやすく解説


HACCPの義務化はいつから?

HACCPは、2021年(令和3年)5月31日までに実施されていれば大丈夫です。義務化自体は2020年(令和2年)6月1日から始まっており、HACCP導入のために既に動き始めていなければなりません。

しかし、HACCPは今日から始めようと思っても、すぐにできるものではなく、また、同時に一般衛生管理の徹底も必要となります。これらの衛生管理を完成させるために、法律が施行された2020年(令和2年)6月1日から2021年(令和3年)5月31日までの1年間が、猶予期間として設けられています。


2020年6月~2021年5月までは猶予期間

2021年5月末までの猶予期間では、会社の規模や業種によってやるべきことは変わってきますが、大きく分けて4つ実施することがあります。

  1. 「一般的な衛生管理」及び「HACCPによる衛生管理」に関する基準に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る
  2. 必要に応じて洗浄・清掃・消毒や食品の取扱い等について具体的な方法を定めた手順書を作成する
  3. 衛生管理の実施状況を記録し、保存する
  4. 衛生管理計画及び手順書の効果を定期的に(及び工程に変更が生じた際等)に検証し(振り返り)、必要に応じて内容を見直す

猶予期間中は、計画を立てるだけではありません。実際に立てた計画を実施し、2021年6月以降の本番には完璧に使いこなせるようにしましょう。

2021年6月1日までの対応が必須

2021年5月31日までにHACCPを導入し、運用がされていなければなりません。2021年6月1日以降で注意しなければならないのが、営業許可更新時の保健所の監査です。改正食品衛生法では、今までの監査項目に、「HACCPにおける記録の確認」が加わります。HACCPは、単に衛生管理を計画通り行うだけではなく、衛生管理の実施状況を「記録」し、「保存」することが必須です。

保健所が訪れた際にHACCPの記録がないと、必ず指導が入るため、「これがHACCPの記録です!」といつでも見せられるようにしておきましょう。

HACCPの対象範囲

HACCP義務化は、食品や添加物を取り扱う全ての業種が対象となります。大規模な食品工場も、個人経営の小規模な飲食店も、仕入れ商品を加工せず販売するスーパーも、HACCPを導入しなくてはなりません。

しかし、全国にチェーン展開しているような大規模な会社と、数人で切り盛りするような小規模な会社で、同等の衛生管理を行うのは難しいです。また、取り扱う食品によっても、リスクが高いものとそうでないものがあります。そこで国は、大規模な企業は「HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)」、小規模な企業は「HACCPに沿った衛生管理(旧基準B)」を行うよう、規模や形態によってやるべきことを分けました。

対象事業

まず、自社がHACCP義務化の対象かどうかを確認しましょう。HACCPは、食品または添加物を取り扱う(製造・加工・調理・販売を含む)全ての企業が対象となり、企業の規模は関係ありませんので注意してください。

ただし、公衆衛生に与える影響が少ないと判断された以下の4つの業種はHACCP義務化の対象外となります。

  1. 食品の輸入業
  2. 常温での食品の貯蔵、運搬業
  3. 常温での包装食品の販売業
  4. 容器包装の輸入、販売業

以上の4つに当てはまらなければ、HACCP義務化の対象事業となります。

事業規模

HACCPの義務化は事業の規模によって実行する内容が変わってきます。規模が大きい企業は「HACCPに基づく衛生管理」、規模が小さい企業は「HACCPに沿った衛生管理」を実施します。

以下の4項目のいずれかに当てはまる場合は、「HACCPに沿った衛生管理」に該当します。

  1. ひとつの事業所において、食品従事者が50人以下の小規模事業者
    (例)小規模な食品工場など
  2. 該当店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者
    (例)菓子の製造販売、食肉の販売など
  3. 提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繫な業種
    (例)飲食店、給食施設、惣菜・弁当の調理など
  4. 低温保存が必要な包装食品の販売等、一般衛生管理のみの対応で管理一般衛生管理の管理で対応が可能な業種
    (例)食品の卸業者、コンビニエンスストアなど

上記項目に当てはまらない事業者は、「HACCPに基づく衛生管理」を実施します。

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