イワシ料理の個性派バル「パーラーイワシ」の『鰯のベッカフィーコ』


激戦区でひときわ光るイワシ料理と国産醸造酒の個性派バル

【大阪・福島】Parlor184(パーラーイワシ)

「居酒屋のつもりでやってます」と、オーナーシェフの渋谷聡さん。フレンチ主体のカフェを経て、バル激戦区福島を代表するイタリアンバル「ポルチーニ」へ。立ち上げから7年半勤務した経験を生かして、2011年7月に独立開業した。オープンして1年半。福島でも有数の、予約の取れない繁盛店となっている。

何を軸に展開するか個性を明確にする食材探し

メニューの核は、店名どおりのイワシ料理と国産ワイン、日本酒。開業にあたって何か軸になるものを、と探し出した素材たちだ。生産者に会いに行き、「自分が納得したものを出したい。だったら国産しかない」と考えた。ワイナリーや酒蔵にも足を運び「、これなら」と思える酒を選択。それらの酒に合わせる食材は、調理の幅が広く、身近で、年中手に入るイワシと決めた。

前職の頃から、ムール貝を見ては「酢味噌と合うだろうな」と思い、サザエは「ガーリックバターでエスカルゴのように焼けないか」などといつも考えていた。今はフレンチやイタリアンなどという料理の縛りを取り払って、醤油も味噌も使う。旨いイワシ料理になるなら「縛り」は不要。それが見せかけの創作料理に終わらないのは、ひとえに渋谷さんの実力と手間のかけ方による。

フードメニューはおよそ80種。毎朝市場に仕入れに出かけ、昼から仕込み、オープンキッチンで膨大な皿数をさばききる。わずか11坪の店舗で扱うには多すぎるメニューは、そのまま、この店にわざわざ足を運ぶ理由の数となっている。

「食べている人の反応が見たいから」とフルオープンキッチンに。接客はスタッフに任せ、あくまでも自身は料理人のスタンスを崩さない。

【レシピ】鰯のベッカフィーコ

材料(1人分)

イワシ…2匹/ディル…少々/オリーブオイル、パン粉、バルサミコ酢、イタリアンパセリ、オレンジ…各適量

ファルス(作りやすい分量)
タマネギ…1個/ニンニク…1/2片/セミドライトマト…30個/ケイパー…小さじ3/ブラックオリーブ…85g/バゲット…180g/干しぶどう、松の実…各1つかみ/ 湯…100cc/塩…適量

作り方

  1. ファルスを作る。タマネギ、ニンニクをみじん切りにして炒めておく。
  2. セミドライトマトは半分に、ケイパーとブラックオリーブは粗みじんに、バゲットは1cm角に切る。干しぶどうは半分にカットしてから湯で戻しておく。
  3. 1と2と松の実を鍋に入れて、味がなじむ程度に軽く加熱し、こねながら塩で味を整える。
  4. イワシは3枚におろし、背ビレを抜いて塩をふり、ディルをのせて3のファルスを15g置き、くるりと巻いてようじで止める。これを4個作る。
  5. 耐熱皿に載せ、オリーブオイル、パン粉をかけて200℃のオーブンで10分焼く。
  6. バルサミコ酢、オリーブオイル、イタリアンパセリのみじん切りをかける。オレンジの皮をおろし金ですりおろし、散らす。

早い日は12時から出勤し、大量の仕込みを行う。「これだけ働いてあかんかったら諦めつきます(笑)」と渋谷 聡さん。


長瀬広子=文  星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国2013年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2013年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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