イタリア料理の花形であるパスタ。スパゲッティをはじめペンネやリングイネなど、その種類は豊富で、製造するメーカーも多数存在する。各メーカーが厳選した原料を用いて丁寧に製造されているが、個性は様々。今回は編集部が推すシェフたちが、どんなパスタメーカーを推しているのか徹底取材。パスタメーカーの特徴とシェフたちのパスタにかける想いを紹介する。
出汁が決め手のスタイルに欠かせない30年来の名パートナー
代々木上原から歩いて数分。落ち着いた商店街の一角にある、温かみのあるイタリア料理店「カーサ・ヴェッキア」。そこで腕を振るうのが見崎英法(みさきひでのり)オーナーシェフだ。18歳でデザインの勉強のため渡伊。その後、料理の道に入り、ナポリで修業を開始。 シチリア「カポ・タオルミナ」やリボルノ「ガン ベロ・ロッソ」を始め、パレルモ、ローマ、ミラノ、ベネチアなどで修業を積んだ。92 年に帰国し、数店を経て、01年独立開店。 「通常、肉料理や魚料理がメインと呼ば れますが、お客様に求められる料理が花形。だからうちの花形はパスタです」という見崎シェフ。「カーサ・ヴェッキア」にはパスタを目当てに足繁く通う常連客が多いそうだ。
見崎シェフが料理の道に入ってからずっと使い続けているのが「ヴォイエッロ」のパスタ。鮮やかな水色のパッケージが目を引く「ヴォイエッロ」はナポリが創業の地。修業を始めたナポリのお店で使われていた のが出会いのきっかけで、以来30年以上も愛用しているという。「僕のパスタは、出汁がメインのものが多い。鶏や牛など、出汁をいっぱい使います」そんな出汁を大切にする見崎シェフのスタイルに合うが「ヴォイエッロ」のパスタだ。「自分なりに様々なメーカーを試してみたのですが、ずっと『ヴォイエッロ』を使っているうちに違いがわかってきました。『ヴォイエッロ』の麺は、表面のザラザラ具合が どこよりもあって、ソースに絡みやすい。 そこが好きで愛用しています」。
Voiello(ヴォイエッロ)
1879年にナポリで誕生した「ヴォイエッロ」。当時の貴族の間で愛好され、なかなか入手できなかったことから「幻のパスタ」とも呼ばれていた。長年研究を続け、 種苗会社と共同開発した100%イタリア産でハイプロテインのAUREO小麦を使用している。
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秋の限定メニューだという「サンマと焼き大根セリと三ツ葉クレソンのソース」にはスパゲッティーニを使用。アサリと野菜のブロードをたっぷりと含んだ麺は、サンマやセリといった日本らしい食材にマッチし、イタリア料理ながら日本人に 馴染みやすい味に仕上がっている。 そして、もう20年もこれを目当てに通う常連客がいるという「ペスカトーレ」にはリングイネを使う。「ペスカトーレにはアサリ、ハマグリ、 魚の骨、そして野菜の出汁を使います。 たっぷりの出汁を使うのでリングイネがいい。リングイネは短時間で大量にソースを吸ってくれます」。リングイネは楕円形で表面積が多く、ソースと絡みやすいのが特徴。また「ヴォイエッロ」のリングイネはリガーテと呼ばれる麺の表面に細かい溝があるため、さらに絡みやすくなっているという。また、ショートパスタのペンネは内側まで溝があるというのも「ヴォイエッロ」のペンネの特色だ。ソースとの絡みを追求したパスタといえる「ヴォイエッロ」。これからも見崎シェフのパスタ料理に欠かせない相棒として、愛用され続けていくだろう。
カーサ・ヴェッキア
東京都渋谷区上原1-34-10
TEL03-3468-4280
12:00 ~ 14:00LO、
18:00 ~ 22:00LO
月休
text 竹内せいじ photo よねくらりょう
記事は雑誌料理王国2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2019年11月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。