「ナベノ-イズム」渡辺雄一郎シェフ。中国・四川の技に学ぶ【第二弾】。中国料理のテクニックが詰まった一品「水煮牛肉」

進化する料理人たちはジャンルを越えて刺激し合う。独自の文化とスタイルを貫く中国料理にも進化の波が押し寄せ、表に出なかった技や表現に注目が集まる。そんな中国料理にフランス料理がであったら──。フレンチ・渡辺シェフは『フランス料理では、辛味を強調することはありませんが、使い方次第では味が引き締まるので、中国料理の「辛味使い」は知りたいことのひとつです。』ふたりのトップシェフの挑戦をレポート【第二弾】は調理実践1品目「水煮牛肉」。

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辛味ひとつにしても表現の仕方はいろいろ

悩んだ結果、井桁さんは、渡辺さんに「水煮牛肉」を調理して見せることに決めた。「水煮牛肉」は四川の伝統料理だ。昔、四川では〝井塩〞という井戸の水からとれる塩を使っていて、井戸水をくみ上げるのに使ったのが牛。その役目を終えた牛を調理するのが、「水煮牛肉」だ。井桁さんは、今でも、四川で習ったままの調理法で提供している。
「古い料理ですが、四川料理らしいし、何より中国料理のさまざまなテクニックが詰まっているんです」

中国料理ならではの、高温で食材に火を通すテクニック。香味オイルには種以上ものスパイスを使い、さらに大量の辛味調味料……。
「生のトウガラシは辛味のために、豆板醤は旨味を引き立てるために、そして甘味のある四川トウガラシは香りを出すためにと、同じ辛味の元でも、それぞれに役割が違うのです」

まるで皿の上でラー油を作るような大迫力の調理風景。「Incroyable!(びっくり!)」を連発する渡辺さんは、「刺激を受けました。食材の下拵えから爆発するような火入れまで見せていただくことで、初めて知ったこと、再確認できたこと、収穫がありました」と語る。渡辺さんの中で何かが爆発したようだ。

水煮牛肉

野菜のフレッシュな香り、見た目のインパクト、お客さまから歓声の上がる料理です。

水煮牛肉

さっと炒めた野菜の上に、辛味を付けた牛肉をのせ、その上からラー油をかけたような四川料理ならではの辛さが特徴の伝統料理。

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