生の野菜や果物、未精製食材が中心の「ホールフーズ」で栄養バランスを意識
祐樹さん(以下祐):以前は普通にお肉を食べていました。
「アスリートとしてタンパク質を多く摂取しなきゃ」という意識から乳製品も相当摂っていましたね。牛乳 は1日1ℓぐらい飲んでいたかも。
清子さん(以下清):私はもともと健康や美容に興味があったので、玄米菜食中心のマクロビオティックを学んでいましたが、お肉や乳製品を口にすることもありました。
祐:転機は30歳を越えたころ。体に異変が起きてしまって。アレルギーや高血圧の症状が出て、アスリートとしては致命的な喘息も患ってしまいました。
そんなときに、ベジタリアンの食事に切り替えたチームメイトが急激に成績を伸ばし始めて、僕にも勧めてくれたんです。最初は半信半疑でしたが、まずは見習ってみようと、妻に協力をお願いしました。
清:食事をプラントベースにしたいと言われて、すぐOKしました。もともと健康的な食事には興味があって学んでいましたから。 どうせやるなら、おいしい料理を作って、二人でプラントベースを楽しみたいと思いました。
清:食生活を切り替えた当初は、今と比べてレトルト食品や大豆ミートを多く使っていましたが、徐々に生の野菜や果物、精製されていない食材を中心とした「ホールフーズ」のスタイルに変わっていきました。
よく「たんぱく質は不足しないの?」 と聞かれますが、全粒穀物や豆類、ナッツ類、カボチャのシード、アボカドなど、たんぱく質が豊富な植物性食材はたくさんあります。
祐:逆に品数が増えて、必要な栄養素が自然と整っていく気がします。以前は食卓のメインに肉や魚があるのが当たり前で、その周りにある野菜料理はサブでした。プラントベースに切り替えると、何かひとつがメインという概念がなくなって、それぞれの料理が大切に思えてきます。
体調面では、食事を変えて3ケ月で喘息の発作が収まり、血圧が下がりました。スタミナや瞬発力 、集中力の面でも問題なくトレーニングを遂行できると実感もありましたね。そして半年経ったころ、米国での100マイル(約160キロ)レースで優勝できたんです!
清:自分たちのスタイルは間違っていないと、自信になりました。プラントベースは、健康面だけではなく、地球環境にもメリットがあります。一過性ではなくて、日本にも根付いてくれたらいいなと思います。
国内ではプラントベースメニューに対応している飲食店がまだ少ないですが、理由を話してお願いしてみると、協力してくださることも多いです。
サン・クロレラA パウダー (6g×30袋入、9,800円/サン・クロレラ)
ビタミンB12などのビタミン類やミネラル、必須アミノ酸が豊富な藻の粉末。「豆乳ヨーグルトに混ぜたり、パウンドケーキに入れたりします」(祐樹さん)。
干しえのき (20g、510円/丸金)
干しえのきは細いのですぐ水で戻せて便利。「食感が似ているのでイカの代用に使うことも。炊き込みごはんに入れると良い出汁が出ます」(清子さん)。
左/清子さん(妻)
1979年生まれ。アスリートである夫の池田祐樹さんと結婚し、食事面からサポートしようと、アスリートフードやプラントベースの道へ。アスリートフードの開発や講演などを手がける「ビオトープ株式会社」の代表。
右/祐樹さん(夫)
1979年生まれ。プラントベースを実践するマウンテンバイクプロアスリート。MTB長距離レースの国内第一人者であり、世界選手権日本代表には7度選出。本職の傍ら、米コーネル大でプラントベース栄養学コースを修了。
text 笹木菜々子
本記事は雑誌料理王国2020年10月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年10月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。