ここのジビエが旨い理由#4 新橋「レストラン ラ フィネス」


キャベツの甘味と香り高い
ペルドローが互いを引き立て合う

19歳で渡仏し、地方を中心に12年間修業。帰国後、32歳という若さで「レストラン ラ フィネス」を開店した杉本敬三さん。昨年は、35歳以下の料理人を発掘するコンペティション「REDU-35」で、見事グランプリを獲得した注目の実力派だ。「伝統的なフランス料理をベースに、分解、再構築するのが自分のスタイル。尊敬する師匠はいますが、誰にも師事せず、レシピも持たない。自分がおいしいと思うものだけをお客様に提供していきたい」と語る。

【ペルドロー】フランス産
ロワール地方産。香りがよく部位によって食感が異なるのが特徴。仕入れはノーザンエクスプレスから。

今回、杉本さんが披露したのはペルドローとキャベツの伝統的な組み合わせ。ブレゼしたキャベツに焼いたペルドローを入れ、余熱でゆっくりと火入れすることで、美しいロゼ色に仕上げるのがポイントだ。筋肉質でしっかりした歯応えのモモ肉、しっとりとやわらかいムネ肉、ねっとりとしたササミの異なる食感が楽しめる。ソースは、ペルドローと相性のいいマッシュルームをガラの2倍入れ、旨味を凝縮している。「ジビエは環境やエサによって個体差が大きい。それをどう料理するか、判断することもジビエの醍醐味。自分も大自然に立ち向かう姿勢で挑んでいます」と杉本さん。

ペルドロー オー シュー
じっくりとブレゼしたキャベツとタマネギの甘味。ペルドローのジビエらしい旨味とトリュフの香りが三位一体となったバランスのいいひと皿。ペルドローのダシとフォンドボー、ガラ、たっぷりのマッシュルームのスライスを、時間をかけてぐっと煮詰めたソースは、杉本さんの自信作だ「。水ではなく、ワインに合う料理が基本。自分が食べたいと思うジビエ料理をお客様と共有したい」と杉本さん。

text 小林薫   photo 富貴塚悠太

本記事は雑誌料理王国第235号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第235号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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