GEM by moto /千葉麻里絵さんが語る日本酒動静


日本酒動静:ブレンドは最先端かつ江戸時代への回帰

――千葉さんは日本酒にスパイスやお茶などを加えて、新しい飲み方を提案してきましたが、それは西洋的なブレンドなのでしょうか?

私がやっているブレンドは、料理と合わせる中で、日本酒ではどうしても出せない香りや味わいを足したいときに行っています。日本酒に何かを足すことをトリッキーに捉えられることもありますが、先日剣菱酒造にうかがったときに、じつは江戸時代に行われていたことがわかったんです。「直し酒」といって、納得のいかない酒を調整する方法が蔵に伝わっていて、ニッキや胡椒を入れてつくるレシピ表を見せていただきました。

そもそも酒同士をブレンド(調合)するというのも日本酒には伝統的にある考え方です。最近でこそ、新米で搾りたて、シングルタンクの無濾過生原酒が好まれますが、古米や古々米を使った江戸時代頃は、造った酒は1~2年熟成させ、ブレンドしてから出荷するのが普通でした。剣菱や大七には現在でも調合師がいます。

ブレンドという江戸時代に回帰する考え方に光が当たることは面白いですし、そこから今後、日本酒としてどんな新しい表現が生まれていくのか楽しみにしています。

仙禽 オーガニック・ナチュール 2020
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ラフランスの白和え

千葉さんが毎年仕込みに通っているという仙禽。完全無添加の超自然派生酛で造られる「仙禽 オーガニック・ナチュール」は、あまずっぱさが特徴で、ラフランスの甘みに寄り添うペアリングだ。鉄観音茶を素揚げして振りかけることで、酒と一緒に飲み込んだ後、フルーティな香りがほのかに戻ってくる。

――コロナ禍で家飲みの機会が増えたことから、どんな影響が日本酒業界に出ていますか?

わかりやすいところで言えば、流通する酒瓶のサイズは四号瓶がメインになるのではないでしょうか。これまで酒蔵は酒屋と取引をすることがメインで、飲食店を末端顧客として設定している場合がほとんどでした。それが飲食店が開けられない状況になって、ダイレクトに消費者とやりとりをする必要に迫られたのが、コロナ禍での最大の変化だと思います。一般家庭だと一升瓶では買いづらいですよね。ECの整備もかなり進んだと思います。

 また今後、日本酒は値段をもっと上げていいと思います。スポット商品で高価格帯のものを出す酒蔵も増えてきました。これまでの常識に囚われず、品質に見合った値段をつけてもらいたいです。

とおの どぶろく・水もと二年熟成
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カキフライ

民宿とおののどぶろくから、水酛造りの酸の強いタイプを2年熟成させたものが、2020年から販売開始。揚げ物とどぶろく合わせるのはGEMの鉄板ペアリングだが、お燗でより酸を際立たせてカキフライと一緒に。春菊と白味噌を使ったソースの上にのったフライを割ると、中からは小ぶりなカキが4つ出てくる。

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