【サービス】のカリスマが大切にすること。「リストランテ ラ・バリック トウキョウ」坂田真一郎さん


料理人とサービス人が唯一無二のパートナーである店を

開店10周年を迎えた現在も、「ラ・バリック」は昼夜を問わず満席をキープし続ける人気店だ。オーナーである坂田さんのもとには、起業についての相談が後を絶たない。

「疑問に思うのは、料理人であればサービス人、サービス人であれば料理人が決まっていないのに店の計画を進めていくこと。私に言わせると、それはパートナーを軽んじている証拠です。『このシェフの料理が魅力的だから、この人と組んで店をやりたい』とか、『自分は料理に集中したいから安心して任せられるサービス人が欲しい』と思える、そういう人をつかまえて初めて、店の計画を進めていくものだと思います。先に物件を探す人も少なくありませんが、そのようなやり方でオープンに漕ぎ着けても、料理人かサービス人のどちらかが続かなくなります」

坂田さんの【仕事のマストアイテム】

お客さまが手に触れる物は上質に、自ら使う物は機能性を重視。イタリア製のソムリエナイフは修業時代に試供品としてもらったものが気に入り、現在で5代目。じきに生産終了の可能性があることが悩み。肌身離さず愛用しているモンブランのボールペンは、長年憧れだったソムリエの方から譲り受けたもの。

スタンダードな料理とサービスを高いレベルで提供したい

「当たり前のことを、どれだけ高いレベルで遂行できるか。お客さまに支持していただけている理由を客観的に捉え、吸収できるか。そのうえで、将来独立を考えている人には具体的なアドバイスをしています」
事実、この10年で坂田さんの元からは3人のソムリエが独立し、それぞれが成功を収めている。

「内藤さんの言葉に『一流のソムリエ、一流のサービスマンになりたければ、まずは一流のワーカーになりなさい』というものがあります。それがトイレ掃除なら、誰よりも綺麗に誰よりも早く、そしてその記録を自分で塗り替えていく。日々同じことの繰り返しだからこそ、本当に大切なことだと思います。今も大切にしている言葉ですね」

女性客のひざ掛けとしても使えるよう配慮された大判のトーションは、坂田さんがデザインした刺繍入り。店名のイニシャルである「B」を囲む葡萄とオリーブの葉は、料理とワインのマリアージュ、料理人とサービス人とのチームワークを象徴している。
女性客のひざ掛けとしても使えるよう配慮された大判のトーションは、坂田さんがデザインした刺繍入り。店名のイニシャルである「B」を囲む葡萄とオリーブの葉は、料理とワインのマリアージュ、料理人とサービス人とのチームワークを象徴している。

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坂田真一郎/Shinichiro Sakata

エコール・キュリネール国立で調理を学び、都内レストランを経て「アカーチェ」へ入社し、サービスに転向。 2005年に渡伊し、トリノでの修業先だった「ラ・バリック」の暖簾分けとして、2007年「リストランテ ラ・バリック トウキョウ」を開店。

リストランテ ラ・バリック トウキョウ
Ristorante La Barrique TOKYO

東京都文京区水道2-12-2
03-3943-4928
● 11:30~12:30LO、18:00~21:45LO
● 水、第2火休
● コース 昼5500円~(平日は3400円~)夜9800円~(税込)※サービス料別
● 20席
www.labarrique.jp

田中英代=取材、文 小寺恵=撮影

本記事は雑誌料理王国276号(2017年8月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は276号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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