刺激し合うトップシェフ二人のコラボ!岸田周三さん、アンドレ・チャンさん

レストランカンテサンス 岸田周三さん・レストランアンドレ アンドレ・チャンさん

アンドレさんの料理哲学、8つの要素

アンドレさんを語るうえで欠かせないのが、8つの要素からなる独特の料理哲学だろう。「ピュア(素材本来の味)」「ソルト(天然の塩の風味)」「アルティザン(職人技)」「サウス(影響を受けた南仏の大らかなイメージ)」「テクスチャー」「ユニーク」「メモリー」「テロワール」がその要素。アンドレさんは独立を前に、自身の料理を分析した結果、自分の料理には、この8つのうちのどれかが必ず存在することに気づき、これらを総称して、「オクタフィロソフィ(8つの哲学)」と名付けたのだ。

ただし、これに気づくには大きなターニングポイントを経なければならなかった。実はアンドレさんは、フランスでの修業を終えた直後、ヨーロッパでもアジアでもなく、アフリカの島に向かった。
「現代を代表するシェフのもとで働けたことは幸運だったが、彼らのコピーのような料理は作りたくなかった。どうしてもそこから抜け出せない人をたくさん見てきたから……。アジア出身の自分に、どうしたら独創的なフランス料理が作れるのか。それを突き詰める必要がありました」

そこでアフリカ南部のセイシャル諸島にあるホテルで2年間シェフとして働いた。あえて情報から遮断された中に身を置き、自分の料理とは何かを考え、進むべき道を問い続けたのだ。「オクタフィロソフィ」はその環境で得たものだった


アンドレさんの話には、同じように苦悩してきた岸田さんだからこそ理解できる点が多い。そんな岸田さんは、「アンドレの料理には哲学があるだけでなく、それを見ると世界の動きがわかるところがすごいと思います。世界は確実に動いていて、アンドレの料理もまたイキイキと動いています」と、心からの賛辞を贈った。

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