【前篇】マイナーチェンジの挑戦は続く。「ヴォーロ・コズィ」西口シェフの”ボローニャ風ラグーのタリアテッレ”


今回、70年代に思いをはせて、西口大輔シェフが作ったのが、日本人が大好きなミートソースのイメージの「ボローニャ風ラグーのタリアテッレ」。しかし当時の日本にはまだ生パスタはなかった。「イタリアの 70 年代前半の生パスタは小麦粉 100gに対して全卵1個が基本だったようです。これはとても柔らかくて、コシが弱かったのではと思います」

今、自身が手打ちパスタで理想とするのは「卵黄のコクと甘味、卵白がもたらすぷるん、つるんという食感です」

西口シェフが手打ちパスタで気をつけているのが鮮度。

「真空にすることで圧力がかかり、生地にグルテンが生まれ、一晩寝かせるとコシがでてきます。卵を使用しているので、生地を練り過ぎて熱が加わることで劣化させたくないのです」

真空で一晩寝かした手打ちパスタをイタリアで初めて食べた時、フレッシュ感が違うと実感したという。パスタ部門シェフを担当していたミラノの一ツ星「サドレル」でも、パヴィーアでシェフとして腕をふるった「ロカンダ・ヴェッキア・パヴィーア」でも、当時この方法を採用していた。パスタの本家では、種類もさることながら生地の作り方が想像を超えていた。今回披露してくれたタリアテッレとラザーニャ、他にもラヴィオリは同じ配合の生地で、「サドレル」時代から作り続けている。

【レシピ】 ボローニャ風ラグーのタリアテッレ

シェフからの一言アドバイス
パスタ生地は卵を使うので、熱を与えないようにしています。真空にすることで圧力がかかりこねたのと同じ状態になります。必ず一晩休ませて下さい。

ボローニャ風ラグーのタリアテッレ
材料(2人分)

タリアテッレ……160g
ボローニャ風ラグー……200g
バター(無塩)……20g
トマトソース……大さじ3
黒コショウ……適量
グラーナ・パダーノ(粉)……30g

卵入りパスタ生地
材料(作りやすい分量)

00粉……800g
セモリナ粉……200g
卵黄……8個
全卵……5個
水……適量
塩……ひとつまみ
E.V.オリーブ油……適量

作り方

  1. ボウルに材料をすべて入れて混ぜ合わせていく。
  2. 生地に水を少量ずつ加えてなじませて、塊がなくなるまで混ぜ合わせて少しだけこねる。[A]
  3. 専用の袋に入れて真空の状態にする。[B]
  4. 冷蔵庫で一晩休ませる。色味が濃くなる。[C]
A
B
C

■ ボローニャ風ラグー
材料(作りやすい分量570g)

合い挽き肉……250g
肉だね……250g
ソフリット……150g
ブロード……1.6l
赤ワイン……200ml
トマトペースト……40g
サラダ油……40ml
塩……小さじ1
ローリエ……1枚
バター(無塩)……20g
トマトソース……大さじ3
黒コショウ……適量
グラーナ・パダーノ(粉)……20g
茹で汁用の塩……適量

作り方

  1. フライパンに合い挽き肉と肉だね、サラダ油を入れて炒める。水分が飛ぶまでよく炒める。
  2. 鍋にソフリット、ローリエと1を入れる。
  3. 1のフライパンに半量の赤ワインを注いで強火にし、鍋底の肉汁を溶かし、2の鍋に加える。残りの赤ワイン、塩を加えて煮詰める。
  4. トマトペーストとブロード450mlを加えて煮込む。
  5. 途中で水分が煮詰まってきたら、残りのブロードを足して煮詰める。塩、黒コショウで味を調える。
  6. タリアテッレを塩湯で茹でる。フライパンにバター、トマトソースを入れ、タリアテッレ、グラーナ・パダーノ、茹で汁であえる。

■ 肉だね
材料(8人前)

合い挽き肉……500g
パン粉……60g
生クリーム……80ml
全卵……1個
塩……4g
ナツメグ……適量

■ ソフリット
材料(作りやすい分量)

タマネギ……200g
ニンジン……50g
セロリ……50g
サラダ油……大さじ3

■ ブロード
材料(作りやすい分量)

鶏ガラ……1kg
タマネギ……100g
ニンジン……30g
セロリ……30g
ローリエ……1枚
水……3.5l

■ トマトソース
材料(作りやすい分量)

ホールトマト(缶詰)……2缶
タマネギのソフリット……30g
ローリエ……1枚
サラダ油……大さじ1
塩……3g

西口大輔(にしぐち だいすけ)
1969年生まれ。「カピトリーノ」𠮷川敏明シェフの下で修業をしたのち93年に渡伊。ヴェネト州、ロンバルディア州で修業。「サドレル」(ミラノ)ではパスタシェフに就任。帰国後、「ヴォナ·ヴィータ(現在は閉店)」でシェフとして活躍。 2000年に再び渡伊。ロンバルディア州パヴィーアのリストランテ「ロカンダ·ヴェッキア·パヴィーア」で5年間シェフを務める。帰国後06年に現店をオープン。オーナーシェフに就任。

ヴォーロ・コズィ
東京都文京区白山4-37-22 
TEL 03-5319-3351
12:00 ~ 15:00(12:30LO) 18:00 ~ 22:00(19:30LO)
月曜定休


text 飯島千代子 photo 海老原俊之

本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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