名店のスペシャリテ【オナガダイのアクアパッツァ】、その後「リストランテ アクアパッツァ」

リストランテ アクアパッツァ オナガダイのアクアパッツァ

「リストランテ『アクアパッツァ』のオープン当時、アクアパッツァというイタリア料理を知っている日本人はほとんどいなかったので、本場で提供されるようなシンプルなアクアパッツァでは、リストランテの料理としては物足りないような気がしていました。それで、アンチョビとケイパー、黒オリーブでうまみを加えることにしたんです」。

リストランテ アクアパッツァ オナガダイのアクアパッツァ
リストランテ アクアパッツァ オナガダイのアクアパッツァ

軽く焼いたオナガダイを塩水で煮込んでいく。このとき大事なのは塩加減。「アサリからも塩分が出るため、魚を食べてスープを飲んでちょうど口のなかで調和するくらいがベストです」と日髙さん。

自家製のドライトマトを入れたら、煮汁を魚にかけながらさらに煮ていく。
「煮汁が乳化してソースになるタイミングを逃さないことも、この料理の重要なポイントです」と話す。

しかし、時代は変わった。「今やアクアパッツァは、日本でもポピュラーな魚料理。そういうなかで、7年ほど前から、水だけで煮て魚本来のうまみを引き出す調理方法に変えました」。本場のきわめて簡素な漁師料理をそのままリストランテの料理に昇華させたのが、現在の日髙さんのスペシャリテというわけだ。

オープン以来、徹底して素材を重視し、最大限に活かすための技術を磨き続けてきた。「その姿勢を大切に、これからも『リストランテアクアパッツァ』の味を追求していきたい」と居住まいを正す日髙さん。

スペシャリテは、昔も今も、その決意の象徴だ。

日髙良実
1957年、兵庫県神戸市生まれ。
調理師学校卒業後、86年に渡伊。「エノテカ・ピンキオーリ」「グアルティエーロ・マルケージ」「ダル・ペスカトーレ」などの名店も含め、3年間イタリア全土で修業し、イタリア料理の魅力は郷土料理にあることを実感する。
90年11月、東京・西麻布に「リストランテ アクアパッツァ」をオープン。その後、広尾を経て、2018年に現在の場所に移った。
2020年、「オーガニックレストラン認証」取得。

東京都港区南青山2-27-18
パサージュ青山2F
TEL 03-6434-7506
11:30~15:00(14:00LO)、
17:00~23:00(20:30LO)、
土・日・祝は11:30~22:30(20:00LO、ランチは15:00LO)年末年始休、不定休あり

text: Shoko Yamauchi photo: Yoshiko Yoda

本記事は雑誌料理王国319号(2021年12号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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