「日本料理のおいしさの決め手は、昆布やかつおのだしの旨味をいかに引き出すかに尽きる」と話す、「日本橋 ゆかり」の三代目若ご主人、野永喜三夫さん。そして披露する鶏料理は「純白雑炊」。秋田県産比内地鶏の鶏ガラスープに一番だしや貝のエキス、白味噌、豆乳が加わり、旨味の集大成ともいえる料理となった。比内地鶏のおいしいスープの引き立て役になるのは、丁寧に引いた一番だしである。
「昆布は弱火で60℃から70℃に温度を上げ、30分から1時間は火加減を保たないと旨味のグルタミン酸が出ません。次に昆布を取り出しかつおを入れたら、一気に95℃ぐらいに温度を上げないと生臭みが出ます」
そして、「塩」も旨味を引き出す大切な役目を果たすという野永さん。鶏モモ肉を蒸すときも、最低1時間は塩をなじませてから、日本酒をかけて蒸し上げる。鶏の身に塩味がまわるのを待つことで、おいしさも倍増するという。そして蒸し汁をだしに加えることも忘れてはいけない。
さらに一番だしと鶏ガラスープは常温に冷ましてからアサリやホタテを入れることもポイントだ。タンパク質は火を入れると凝固する。常温から火にかけることで、貝のエキスがじんわり引き出せるのだ。すべてがいかに旨味を引き出すかにつながっていく。
「究極の旨味のもとである昆布とかつおを使った日本料理の奥深さは、もっと世界に向けて胸を張るべき」と話す野永さん。旨味の相乗効果を狙ったこの「純白雑炊」こそ、真の日本料理のあるべき姿かも知れない。
「昆布は弱火で60℃から70℃に温度を上げ、30分から1時間は火加減を保たないと旨味のグルタミン酸が出ません。次に昆布を取り出しかつおを入れたら、一気に95℃ぐらいに温度を上げないと生臭みが出ます」
そして、「塩」も旨味を引き出す大切な役目を果たすという野永さん。鶏モモ肉を蒸すときも、最低1時間は塩をなじませてから、日本酒をかけて蒸し上げる。鶏の身に塩味がまわるのを待つことで、おいしさも倍増するという。そして蒸し汁をだしに加えることも忘れてはいけない。
さらに一番だしと鶏ガラスープは常温に冷ましてからアサリやホタテを入れることもポイントだ。タンパク質は火を入れると凝固する。常温から火にかけることで、貝のエキスがじんわり引き出せるのだ。すべてがいかに旨味を引き出すかにつながっていく。
「究極の旨味のもとである昆布とかつおを使った日本料理の奥深さは、もっと世界に向けて胸を張るべき」と話す野永さん。旨味の相乗効果を狙ったこの「純白雑炊」こそ、真の日本料理のあるべき姿かも知れない。
新春を寿ぐ朱塗りのお椀に盛り付けた雑炊は、ユズの香りが引き立つ。
鶏ガラスープや一番だしに豆乳や白味噌を溶け込ませることで、ほどよくふくよかな味に仕上がっている。ゴマペーストや温泉卵はコクを加える。「日本橋ゆかり」では多少内容を変えて、1~2月のコース料理の雑炊や単品として提供。
■ 鶏ガラスープ
鶏ガラ 2羽分/水 2 /日本酒 1 /ネギ、ショウガ 各適量
鍋に鶏ガラ、水、酒、ネギ、ショウガを入れて、強火でい ったん沸かしてから中火にし、途中、木べらで骨をつぶしながら旨味を引き出し、約350 まで煮詰めていく。これを漉す。
■ 鶏の酒蒸し
鶏モモ肉 1~2枚/塩 適量/日本酒 大さじ1
鶏モモ肉はバットに入れて、全体に薄塩をして約1時間置く。日本酒をかけて蒸し器で蒸し上げ、冷ましてから細かくきざむ。
■ 純白雑炊
鶏ガラスープ 350 /一番だし 350 /鶏の蒸し汁 適量/むきアサリ 24個/生ホタテ 8個/豆乳 200 /白味噌 約15g/ゴマペースト小さじ1/2/ごはん 約2膳分/鶏の酒蒸し 適量/塩 適量/温泉玉子の卵黄 4個/ユズの皮、アサツキ各適量
野永喜三夫さん Kimio Nonaga
1972年東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業後、京都「露庵菊乃井」で約7年間、村田吉弘氏に師事。97年より実家の「日本橋ゆかり」で研鑽を積み、現在三代目若主人を務める。
日本橋ゆかり
東京都中央区日本橋3-2-14
03-3271-3436
● 11:30~13:30LO、17:00~21:30LO
● 日曜・祝日休
text by Kanami Okimura photographs by Gaku Yamaya
本記事は雑誌料理王国第174号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第174号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。