食の未来が見えるウェブマガジン

食の可能性を広げる。「青山ファーマーズマーケット」企画・運営担当 田中佑資さん


1.ものすごいライブ感で楽しませてくれる

農家などの生産者さんと密に仕事をしているせいか、野菜や果物などの知識が豊富で、食材の個性を瞬時に見抜いてオリジナリティ溢れる料理に仕上げる――そんなライブ感あるシェフに惹かれます。これは私の個人的意見ですが、シェフのタイプ分けはミュージシャンのそれに似ていると感じます。アルバムのクオリティーにこだわるタイプのミュージシャンがいる一方、臨場感溢れるライブにエネルギーを傾けるアーティストもいる。シェフも同じで、私はライブ派のシェフが好きです。

常に「目の前の食材にどう挑むか」という気持ちで調理を楽しみ、遊び心満載のノンジャンル料理を得意とするかと思えば、時には伝統的な正統派の料理が出てきたりもする。食材に寄り添い、その個性を十二分に引き出した料理なので、おいしいのは言うまでもありません。「粋いき場ば」の塚本亮介さんは、このタイプの代表です。

ライブ感でゲストを楽しませるには、食材に対する相当な知識が必要ですから、塚本さんは日頃からさまざまな食材にチャレンジし、調理法の研究に余念がないと聞いています。こういうタイプの料理人が増えたら「食」の世界はもっと豊かになり、生産者も潤うことでしょう。

2.会う人に勇気と元気を与える

行動力があり、アイディアをどんどん実現していくシェフからは勇気とパワーをもらいます。私たちもまた、「こういうマーケットがあったら面白い」「こんなイベントなら参加してみたい」とアイディアを出し合い、それを具現化していくことが仕事だからです。最近は、青山以外の場所でマーケットを開く計画やオリジナル商品の開発なども進行中。その意味で、店内で気に入った商品を販売したり、物販のための店舗を開いたり、レストランの可能性を広げようとしているシェフやオーナーたちからは刺激を受けます。

でも、究極のシェフは、お会いするだけで元気をくれる人だと思います。それが「コート・ドール」の斉須政雄さんや「ラ・ブランシュ」の田代和久さんです。おふたりはマーケットに来るたびに、「おはよう」と握手をしてくれます。早朝からの準備で疲れていることもありますが、その笑顔を見ると疲れも吹き飛ぶんですね。

斉須さんの「いつでも寄って」という言葉に甘えて、営業時間外に「コート・ドール」へ立ち寄ったこともあったのですが、そんな時も笑顔で迎えてくださって、修業時代からのいろいろな話を聞かせていただきました。長く愛されるシェフには、誰をも受け入れる懐の深さ、温かさがあると実感したものです。そうした人柄だからこそ守り続けられる伝統の味。田代さんからは、今でも毎週元気をいただいています。

3.旺盛な好奇心と探求心で生産者と交流

好奇心や探求心があって、物事を総合的に見る力のあるシェフの話を聞いたり、その料理をいただいたりすることもよい刺激になります。そういうタイプのシェフの中には、気に入った生産者さんの農園に頻繁に足を運ぶ人が多いように思います。自分の使っている野菜がどんな環境でどのように栽培されているのか確かめるためです。

私たちもたびたび農家を訪ね、人手が足りない時にはお手伝いもしますが、そんな時こそ、いろいろな発見があります。栽培に関するさまざまな情報を聞いて作物のデキを確かめるだけではわからないことが非常に多いのです。野菜にしても、葉や実や根など、普段、私たちは自分たちが食べる部分しか見ていない。それは農業を収穫という「点」で捉えているにすぎないからです。

種をまき、花が咲き、実がなって、種が取れる……。こうした「線」を知ると、植物への理解が深まり、これまで食用と考えていなかった花や種などのおいしさに気付くこともあります。探求心に溢れたシェフたちはそうした発見を楽しみ、そこから新たなおいしさのヒントを得ているようです。

参加者の中には田中さんと同世代の若い生産者も多く、何でも話し合える仲だ。「もっと多くの人たちにおいしさを届け、生産者さんにも潤ってほしいので、大手町や神田などでも試験的にマーケットを開く予定です」と言う。

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