コロナ流行期の大型飲食イベントはどう進めるべきか??~ 「四川フェス2020」開催報告 ~


菊池一弘
株式会社場創総合研究所代表取締役。羊好きの消費 者団体齧協会主席。羊を常食とする地域で育ち、中国留学時にイスラム系民族の居住区に住んでいたことなどから、20代前半まで羊は世界の常識と思ってそだつ。本業は「人を集める事」企画から集客、交渉や紹介など。公的団体の仕事から、個人までできる事なら何でもやるスタンス。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。監修書籍に「東京ラムストーリー(実業之日本社)」「家庭で作るおいしい羊肉料理(講談社)」がある。

先日、「コロナ流行期の飲食イベントはどう進めるべきか?四川フェス2020の場合(https://cuisine-kingdom.com/sichuanfes2020/)」と言うタイトルの記事を掲載いたしました。そして、2020年12月19日に予定通り四川フェスを開催しました。

非常事態宣言も3月まで延長となり、なかなか、この先が見えない状況が続きます。様々なイベントが去年は中止となり、またWEBでの開催となりました。この流れは残念ながら今年も続きそうです。コロナの流行が長引きますと「イベントの継続性」が問題になってきます。2年連続で何も行動を起こさないと、ファンの中からそのイベントの存在が消えてしまうのです。去年中止を決断したイベントなどは、今年は何らかのアクションが求められます。その参考までに、私たちが「何をして、どうだったのか?」を、皆様にシェアいたします。

そもそも四川フェスとは

四川フェスとは、今年で4年目を迎える食イベントで、四川料理好きの消費者が集まり、自分たちが好きな四川料理を自分たちで広めようという消費者主導の食イベントです。四川省公認の四川料理の専門家の中川正道が実行委員長で、2019は新宿中央公園で4月に2日間開催し、10万人の動員を誇るイベントでした。

消費者主導で、広告代理店やイベント会社やPR会社などを入れずに行う食系イベントでは、最大規模のイベントの一つです。その四川フェスが去年は3回にわたる延期をへて、「四川フェスTV(19日の夜の4時間)」と言うWEB上での映像コンテンツの配信と、「GOTO四川料理(約10日間)」と言う既存飲食店への集客と言う形での開催となりました。

試行錯誤の結果、リアルを行う事はリスキーと考えての仕組みです。


四川フェスTVとGOTO四川料理のイメージ。

業界や消費者の盛り上がりの創出は可能。

この四川フェス2020は、四川業界をどうにか盛り上げよう!と言う思いから始まりました。結果から言うと、盛り上がりの創出はできたと思います。SNSなどWEB上を中心に多くの人に拡散していただき、キー局を含めて多くのメディアに取り上げていただきました。特に、四川好きの消費者の皆さんには響くことが出来た企画だと感じました。しかし、リアルイベントと、WEBなどを利用したイベントは別物だなと感じた次第です。特に、参加感や拡散力や四川料理のPRなどはやはり、リアルの強さが際立つ結果となりました。

多くのプロとともに立ち上げたイベントでした。

リアルイベントとWEBイベントの違い

今回感じた、リアルイベントと、WEBイベントの違いをまとめてみました。やはり、全く別物で、WEBを介さないといけない、SNSを通さなければいけない的な障壁が実は予想より大きい事を感じました。祭り感イベント感がやはりWEB上だと出ないとも感じました。

WEBメインイベントの利点
〇場所を選ばずに多くの人が参加できる。地域的制約を飛び越せる。
〇WEB上なので店舗や企業の参加が経費の面で簡単。
〇全体的な準備の手間がかからない(でも、大変でした!)

WEBメインイベントの欠点
〇SNSやWEBなど限られた場所での発信なのでアクセスできない人がいる。
〇PRや興味喚起をする場合の拡散力の低さ。みんなで作り上げる感が出しにくい。
〇協力企業や協賛企業が集めにくい。
〇参加企業や店舗の売り上げが立ちにくい(その代わり参加費はかなり削減できますが)

と、手軽さと、距離的格差の是正が利点と考えますが、なかなか話題になりにくく、参加感や、イベント感が弱くなってしまうのが問題だと思います。

ざっと挙げてみましたが、ご覧のように全くリアルイベントとWEBイベントは別物だと感じました。

当初、リアルとほぼ同じイメージの集客やPRを考えていたのですが、集客方法が全く違い、その部分で最後まで試行錯誤が続きました。また、特に四川フェスTVですが、業界の知識がなくいつも私の役割である交通整理がうまく出来なかったり、様々なチームからの申請の可否が情報や知識がないのである程度言うがままだった点など、実行委員会が慣れてなかった点もマイナスに働きました。

リアルとWEBを混ぜる!リアルとWEBを体験し、さらに思った事。

この貴重な経験を通し、WEB開催の良いところ、リアル開催の良いところがあるという事が改めてわかりました。その良いところをあわせた場合、相乗的な効果を得られるな。と考えています。

中心にリアルイベントを置き、イベント感と求心力の中心に置きます。そして、リアルで参加できないお店や企業はWEBで無理なく参加。また、やる気があるお店などはWEB上とリアルで参加する。

参加者も、会場に来ても良いし、WEBで楽しんでも良いし、参加する近くのお店に行ってもよい。そして、それすべてを行ってもよいわけです。

このアイディアは四川フェス2020開催前からあったのですが、イベントを通してますます、リアルとWEBの融合の可能性が見えてきました。

コロナ今後どうなるかわかりませんが、今回の実験を通し得た事は

「WEBとSNSと映像とリアルの融合は最強じゃないか?」

という事でした。リアルとWEB。得意な方向性は違いますが、コラボさせると短所を補い合い、相乗効果が生まれる。これは、もし、コロナが完全に消えて、まったく以前に戻った場合も手法として取り入れて行くことになります。

人が集まる事をする場合は、新しい形を模索しなければいけない。

コロナウイルスは今までのパンデミックがそうであったように時間とともに落ち着くでしょうが、インフルエンザのように季節により流行が起こりそうな予感がしています。その場合、コロナ前のように、思いっきり人が集まる機会はそこまでなくなるでしょう。人が集まるところに抵抗感を持つ人は意外と多く、自己防衛としてこの人たちは今後も人が集まるところを避けるでしょう。

そう考えたらコロナがある程度落ち着いたからと言っても、もう昔にはもどらず、それを念頭に進めることが大事になります。以前の施策に+何か。これは食イベントにとどまらず、人が集まる事をやる方皆に当てはまります。

そろそろ、コロナの話題が出て1年。早く、落ち着いてくれないかと思いつつ、新しい形も探さねばと考える日々がまだしばらく続きそうです。

■四川フェスHP

https://meiweisichuan.jp/sisen-fes2020

四川フェスのGOTO四川料理のポスター

取材・文・撮影=菊池一弘、四川フェス実行委員会


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