店内に足を踏み入れようとするやいなや、スタッフの笑顔がこちらに向けられる。皆一様にいきいきとした表情で、それぞれの持ち場をこなしているように見える。
「接客はマニュアルを設けておらず、基本的に個人の判断基準に任せています。サービスはつねにオンタイム。目の前でお客さまが何を感じているかを考えて行動しています」と太田さんは言う。
「この店に来れば元気になれると思っていただけるように、久しぶりの友達に会うような感じで『こんにちは』と声をかけています」の言葉に納得だ。
A.当店がどんな店なのかを知ってもらうためのもの。そして、料理をさらにおいしくするための手段です。お客さまを喜ばせるという同じ目的を持ち、自己の感性で行動すれば、枠にとらわれない相乗効果が生まれます。
A.スピードです。つねに価格以上の料理を提供している自信があるし、店のことをよく理解してくれている人ほど待ってくれます。「ファン」から「サポーター」になってくれるんですね。
A.誕生日祝いや、料理をカスタムするなど、事前に頼まれなくてもお客さまとの対話から、必要に応じた対応をしていること。週末の大皿料理はサービス面、集客面ともに好評です。
A.お客さまは、楽しんでいただく大切な存在ですが、貸し借りを作らず、できるだけ対等な関係を保つようにしています。
A. 独立前の話ですが、あるお客さまと仲良くなりすぎ、その方がキッチンの中まで入って来るなど、営業活動に支障のある行動をとるようになってしまったこと。踏み越えてはいけない一線があることを学びました。
Kenji Ota
17歳で飲食店経営を志し、都内のピッツェリアで修業後、渡伊。ナポリの老舗「マリーノ」で本場のナポリピッツァを学ぶ。2010年世界ナポリピッツァ選手権第2位など受賞歴多数。2014年「ラ・トリプレッタ」オープン。
君島有紀=取材、文 岩橋仁子=撮影
本記事は雑誌料理王国2016年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2016年8月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。