「私たちが目指しているのは『ハイクラスなカジュアル』。高級店も多く知っているけど、今日はちょっとリラックスに食事をしたいという人に訪れてほしいと思っています」
店の評価は料理、サービス、価格、店内の雰囲気などすべてのバランスで決まると長谷川さんは言う。目指すビジョンに向け思い通りの店づくりを実現するため、自ら他店に足を運び研究を重ね、そして、印象的な深紅の壁、装飾、床張りまで、何とすべて自らが手がけたそう。ラグジュアリーな空間の中で感じられる温かみ。それが目も舌も肥えたなゲストには心地よいに違いない。
A.「気持ちを出すこと」です。やっぱり人間は気持ち。思ったことをどれだけ伝えられるかで、店を気に入っていただけるかどうかが決まると思います。とくに、当店は会社役員をやられているような先輩世代のお客さまが多いので、熱く気持ちをぶつけると共感し、懐かしんで、応援してくださることが多いですね。
A.「自分」でしょうか。大事なのは店全体のオペレーションが順調に機能すること。そのためには、スタッフが賄いきれない部分は店主の僕がすべて引き受ける覚悟で臨んでいます。現場が円滑に回ってくれれば、自分の負担は不思議なくらい気にならなくなりました。先頭に立って全スタッフを軽やかに先導しながら、実は後ろからみんなの背中を押している。そんな存在でありたいと思っています。
A.面倒なことから逃げずに、当たり前のことほどきちんとこなすことを、日頃から心がけています。
A.話すことがとても好きなので、あまり語り過ぎてしまわないよう、会話を楽しめるくらいが程よいですね。
A. 以前はお客さまに「してあげたい」という思いが強すぎて相手の立場や気持ちを考えずにサービスを押しつけてしまっていたことがありました。サービスというのはお客さまが感謝してくださって初めて成立するもの。いろいろな経験を経てそれを学びました。
Hokuto Hasegawa
2003年にパリへ渡り、二ツ星の「ルレ ルイ トレーズ」、パリ最古のビストロのひとつ、「ラ フォンテーヌ ド マルス」でスーシェフ、「シェ レザンジュ」ではシェフを務めた。2015年に「グルマンディーズ」をオープン。
君島有紀=取材、文 岩橋仁子=撮影
本記事は雑誌料理王国2016年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2016年8月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。