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世界一のレストランサービスマンが実践する本物のサービス(前編)


「ああ、いい時間だった。また来よう」とお客様に思っていただきたい。そのためにできることは何か。サービス世界コンクールで優勝し世界一に輝いた宮崎辰さんに、自身が考え実践しているサービスについて語っていただいた。

service1 サービスとは「安心感」

人が最も嫌うのは、自分の存在を無視されることです。逆に、人は自分の存在を認められると居心地よく感じ、安心感が生まれます。レストランも同じで、お客様にまずすべきことは、安心感を提供することです。そのためには、お客様が次に何を求めるかを予測し、心地良いと思っていただける環境を作ること。少なくともレストランサービスマンは、お客様に声を掛けられる前に、お客様の視界に入ることが大事です。常にあなたを気にかけていますという姿勢は、お客様への安心感につながります。

service2 メニューを渡したその後が肝心

例えば、メニューを渡したなら渡しっぱなしではなく、必ずメニューをご覧になっているその様子を見ます。初来店などで困っているようなら、呼ばれる前に行って説明をし、それでも迷われる場合はいくつか選んでお勧めする。あるいは料理が好きな方にはじっくり時間を費やし、食材の産地の話やシェフの考えなどを交えて詳しく説明することもあります。そういう時間がレストランの楽しさに繋がるからです。そのためにも、料理人とのコミュニケーションは大切です。メニューに並ぶ料理についての情報は、毎日確認して正しく把握します。あるいは、久しぶりで話が盛り上がり、料理よりも会話を楽しみたいという方もいます。そんなときは料理の要点はごく手短に案内し、お客様の貴重な会話の時間を邪魔しないようにする。どれも相手にとって気の利いたサービスになります。

service3 電話予約でプロファイリング

サービスは、相手を知ることから始まります。電話で予約を受けるときは必ずメモを取りますが、そこで何を感じ取るかが重要です。どんな話し方か、どんなトーンか、ゆっくりお話される方か、早口かなど、感情から情報をすべて書き残すようにします。「何月何日何時に、何名でお願いします」と流暢に予約される方は、レストランに慣れている人だとわかる。声の感じから60代のおっとりしたマダムで女性4名となれば、華やかな女性に相応しいテーブルを考える。逆に、経営者風で早口な男性なら、接待かそれとも……。そのような方には端のテーブルのほうが好ましいかもしれない。ランチに30代女性4名とあれば、お子さんのお迎えがあるかもしれないから、料理の出し方は早めにし、14時半までには終わるようにするなど、迎える側も考えて準備ができます

宮崎辰(みやざきしん)

1976年生まれ。Fantagista21 代表、メートル・ドテル。2012年クープ・ジョルジュ・バティスト主催サービス世界コンクールで優勝。現在もさまざまな現場に立ちながら、アドバイザーや講師など指導的立場で、レストラン界のサービス向上と人材育成に力を注いでいる。


text 馬田草織 illustration Tamami Nakata

本記事は雑誌料理王国2020年5月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年5月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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