フランスで活躍する日本人シェフを紹介する連載企画。第二回目は、食材と調味料は80%以上、ワインはすべてBIOとこだわりのレストラン「La Table du Caviste Bio」の川崎純子さんをご紹介します。
「パリで店をやるって大変でしょう? と言われるけど、大変だと思わないんです。自分の信じること、好きなことをやってるだけだから」。来仏して15年目、小柄ながらパワフルさを感じさせる川崎純子さんは、モンソー公園エリアのレストランを切り盛りするオーナーシェフだ。
短大卒業後に調理専門学校を経て東京の人気レストランで働くも、あまりのハードさに体調を崩し退職。その後、地元茨城の店に入るが1軒目は厨房に入らせてもらえず、2軒目も料理はできずデセールだけ。料理をしたい気持ちが捨てきれず、一念発起してフランスの地を踏んだ。
パリ15区のビストロに職を得たがデセール担当となり、料理に対する気持ちがさらに募った。そんな時、ル・ブリストルの114Faubourgの募集を知り入店。「やっと料理ができて満足でした。毎日高級食材を扱って、最新のテクニックを学んで」。40歳を迎える年に、さらなる転機が訪れる。現在の共同経営者ドミニクさんと出会い、一緒に店をやることを持ちかけられたのだ。「両親の応援もあり、思い切って20代の頃からの夢を叶えました」。30席の店で仕込みから皿洗いまで全て1人でこなした。ブリストルで真空調理などの技術を身につけたこと、忙しい朝食係を1人で担当した経験が大いに生きた。
店名の通り、こだわりはBIO。「美味しいものを追求するとBIOにたどり着いた」のだという。食材と調味料は80%以上、ワインはすべてBIOという徹底ぶりだ。「野菜たっぷりの健康的な食事をして次の日に元気になってほしい。お母さんの気持ちに近いかも。家庭の食事のように、安心で安全なものだけを出したい」。川崎さんの次の夢は日本への出店だという。「ワインと食事が自然に一緒にあるフランスの日常を、日本にも伝えられたらいいですね」。(恵)
La Table du Caviste Bio
Adresse : 55 rue de Prony, 75017 Paris
TEL : 01.8210.3702
アクセス : M° Wagram
日月休 12h-14h/19h-22h30h
取材・文=吉田 恵理子ワイン&フードライター。コピーライター。
1975年生まれ、フランス・パリ在住。お茶の水女子大学博士前期課程修了、人文学修士(西洋哲学)。都内の広告制作会社を経て、コピーライター、ライターとして独立。フランス国立ランス大学HEG(美食に関する最先端研究機関)に留学。英国ワイン&スピリッツ教育財団(WSET)アドヴァンスト資格所持、英国酒ソムリエ・アソシエーション(SSA)認定酒ソムリエ。著書に『ランチタイムが楽しみなフランス人たち』(産業編集センター)、『ワインを飲めばすべてうまくいく 仕事から恋愛まで起こる10のいいこと』がある。ワイン専門誌、パリの日本語新聞「オヴニー」に寄稿。Twitter:@erikomri_wine
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