表現は無限!驚くべき折り込みパイ生地
辻調理師専門学校 中国料理技術顧問 吉岡勝美さん
西洋料理もパイ生地を使うが、ひとつの点心を作るために1個のパイ生地を折るのは、中国の伝統的なパイ生地である。こね粉生地に小麦粉とラードを練った油脂「油酥(ヨウスゥ)」をバターの代わりに使う。一つひとつを折り込みから作るため、層の数や表出のさせ方、食感などを好みに応じて仕上げることができるのが最大の特徴、レシピを参考においしさを”デザイン”してください、と吉岡さん。
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材料⬥24個分
●小型パイ生地 中国風
◎こね粉生地
でき上がり350g(以下のうち180gを使用)
薄力粉…35g
強力粉…150g
砂糖…25g
水…125g
ラード…45g
◎油脂(油酥)
でき上がり300g(以下のうち144g使用)
薄力粉…200g
ラード…100g
●南乳風味の豚肉餡
でき上がり約416g(以下のうち360gを使用)
豚バラ肉…300g
生姜(粗みじん切り)…5g
エシャロット(粗みじん切り)…15g
南乳(潰してペースト状)…60g
油…適量
◎[調味料]
スープ…100g
砂糖…15g
中国たまり醤油…少量
水溶き片栗粉(片栗粉1:水1で溶いたもの)…適量
小型パイ生地 中国風
● こね粉生地をつくる
- ボウルに薄力粉~砂糖を入れ、分量の水の約3分の2量を加えて混ぜる。
- 残りの水を少しずつ加えながら生地をまとめ、麺台に出して叩きつけるようにして練る。途中でラードを少しずつ加える。
- 生地が薄く、つやよくのびるようになればビニール袋などに入れて冷蔵庫で30 ~ 40分休ませる。
● 油脂を準備する
- ボウルに薄力粉とラードを合わせ、手のひらで押し潰しながら滑らかになるまで混ぜる。12gずつ12個に分割して丸める。
*油脂は常温で使用。長期保存の場合は冷蔵庫に入れる。
● パイ生地を折る
- こね粉生地は15gずつ12個にハサミで分割する。手のひらで押さえてひとまわり大きくのばして油脂をのせる(a)。
- 生地で油脂を丸く包み、転がして俵形にする。
- 生地を縦長に置き、軽く押さえてから麺棒で幅5㎝、長さ12㎝くらいにのばす。
- 奥から手前に向かって巻き取る。7~8の操作をもう1回おこない(b)、生地を縦半分に切る(c、断面)。
南乳風味の豚肉餡
- 豚バラ肉を5×2㎝、厚さ2㎝くらいになるように切る。
- 鍋に油適量を入れて熱し、豚バラ肉を炒める。香りが出れば取り出し、熱湯をかけて油分を除く。
- 少量の油で生姜、エシャロットを炒めて南乳を加える。2の豚バラ肉、調味料のスープ~たまり醤油を加え混ぜ、ボウルに移して90分蒸す。冷ましてから豚肉を取り出して薄切りにし、液体の中に戻す。
- 3を鍋に移して水溶き片栗粉を加えて強くとろみをつけ(d)、取り出して粗熱を取る。
仕上げる
- パイ生地は層が見える面を下にして、約7㎝四方にのばし、餡15gを包む。底に卵白をつけ、白ゴマ(どちらも分量外)をつける。
- フライパンに青ネギ適量(分量外)、パイの包み口を下にして入れる。油(分量外)をパイの5㎜高さまで入れて火にかける。包み口に火が通ればパイの高さまで油を入れてゆっくりと火を通す。
- パイから油脂が流れ出れば(e)温度を上げながら仕上げて取り出す。
*パイはペーパータオルを敷いた天板に並べ、低温のオーブンで油を切る。
レストランでのアイディア
折り方次第でどんな層も作れる!
巻き込みを2度行いましたが、もう1度巻き込めばさらに多くの層ができます。また、①のように輪切りにすれば、円状の層が現れます。仕上がりも②や③のように違ってきます。
江六前一郎=取材、文 村川荘兵衛=撮影
本記事は雑誌料理王国第273号(2017年5月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第273号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。