料理王国創刊30周年の2024年に始まり、今年3回目を迎えた「料理王国大賞」。
シェフたちにアンケートを依頼し、前年の活躍が顕著と思われるシェフを選出。その功績を称える賞だ。また、「料理王国」のメールマガジン会員が選ぶ、昨年最も印象に残ったシェフの「読者賞」、YouTubeチャンネルにおけるこの1年間で最も試聴時間が長かった動画の「動画大賞」、各種「特別賞」を設けている。
その発表会が1月13日に東京ミッドタウン八重洲にて開催された。「大賞」に輝いた西麻布の日本料理店「明寂」の中村英利さんは、お客様や関係者各位への感謝と敬意を述べるとともに、「山、海、土、風、光……日本の食の豊かさの原点は、第一次産業以前のゼロ地点に宿ると考えている。文明が進み技術が洗練された今こそ、ゼロに立ち返り、自然の循環に耳を澄ませて真摯に向き合っていきたい。そして自分の料理を通じて、皆様の心に少しの余韻と静かな記憶をもたらせるよう繋いでいきたい」と語った。

授賞式の次は、料理業界を牽引するシェフたちによる座談会が行われた。料理家・作家の樋口直哉さんが司会進行を務め、日本料理からは新宿「車力門 おの澤」の小野澤誠さん、フランス料理からは南青山「マージ」の柴田秀之さんが登壇。

サステナブルや持続可能性をはじめとする2025年のフード&レストランを表すキーワードや、2026年の料理業界を予測するキーワードなどいくつかの話題が挙がるなか、印象的だったのは人材育成について。「20代を中心に、皆を家族と思い、互いが切磋琢磨できる環境に」(小野澤さん)、「うちは大所
帯のため、各部門のトップには私より年上を配す。新規スタッフは国籍問わず採用。厨房での会話を英語にすることも検討中」(柴田さん)といった意見が出た。今後については「安全をテーマに、料理人と生産者が組んでビジネスモデルを構築する必要がある。店同士は競合ではなく共生の関係にしていきたい」(柴田さん)といった話も。
続いて「料理王国100選」優秀賞の授賞式を開催。規模の大小に関わらず、日本全国の熱意ある食材生産者やメーカーにスポットを当てて、シェフやバイヤーらが選んだ100の逸品から、さらに10品を優秀賞として称えるものだ。商品開発については各社担当者からサステナビリティや郷土色、健康などのキーワードと共に、「おいしさ」への飽くなき追求や「唯一無二」「世界一」を目指すといった意気込みが語られた。

会場では料理王国100選優秀賞や協賛企業による試食・試飲コーナーが設けられ、生産者と料理人の交流が図られた。立場は違えど、時代の課題を踏まえつつ魅力あふれる食を人々に提供したいという思いは同じで、会話は尽きない。年初めにふさわしい、快活な空気が会場を包んでいた。




Text:Yumiko Watanabe photo:Tomoko Osada
