食の未来が見えるウェブマガジン

世界から届いた話題のグルメ情報「パリ編」


もと3つ星「アストランス」 伝説的なロブション店での新出発

今年はイベント限定でテイクアウトを開始し、ウォーミングアップを図ってきた。フラ
ンスでは6月9日から飲食店の店内営業が許可されている。www.astranceparis.fr/

料理人パスカル・バルボと客室責任者クリストフ・ロアが2000年にオープンした「アストランス」。2007年にはミシュラン最高峰3つ星を獲得し、21世紀の最前線を走ってきた。
佐藤伸一や岸田周三など、一線で活躍する若手も多く輩出している。ところが2019年に2つ星に降格。業界に衝撃が走ったのは記憶に新しい。その後、かねてから望んでいた移転を決意。故ジョエル・ロブションが3つ星に導いた伝説的な「ジャマン」を手に入れ、新ステージで挑む。パンデミックを受けた2020年から改装工事を開始。今夏からのオープンを目指す。

旧店の厨房が極小15㎡だったのに対し、新店では70㎡で、表面積は3倍半の380㎡ほどに。1階メインダイニングは28席限定、2階プライベートサロンは12名までと、寛ぎを求めたエクスクルーシブな空間となる。世界の料理に通じ、自然の
恵みである食材に敬意を払って、香りや食感を無国籍レベルで引き出す繊細な料理はバルボの真骨頂だが、そのあり方をインテリアにも反映させている。例えば、アラブの国の伝統的な格子の透かし窓で、自然光を上手に取り入れた内装にしたり、切り花の代わりに小木のプランターを飾って数年経ったら森へ還したりなど、自然と共存する循環型への志向も表現する。

料理のエスプリは変わらないが、大きく変更するのは、ひねりの効いたビストロ料理をウィークエンドに展開すること。
また、コースメニューだけでなく、お客同士で分け合えるアラカルトの料理も提案するということだ。場所を変え、ブランクを経て、どんな「アストランス」が返り咲くか。世界中の美食家たちが見守っている。

高級惣菜店「ダロワイヨ」人気インスタグラマーとコラボ

一つ6人分の大きさ。このパティスリーがすっぽり入るスペシャルボックスは、靴箱と
同じサイズで、「リヴィエラ」が担当するというこだわりだ。 www.dalloyau.fr/

1802年創業の老舗高級惣菜店「ダロワイヨ」が人気インスタグラマーと組んで、6月3日から夏限定のパティスリーを発表した。インスタグラマーのタルー・スピーゲルが運営するアカウント「desserted_in_paris」は、見た目も形も斬新なパ
ティスリーに、色や絵柄の合うスタイリッシュな靴を選び、パリの舗道を背景に撮影するというコンセプトで、今や31万人ものフォロワーを持つ。もともとはグラフィックデザイナー志望のイスラエル人。パリにパティスリーを学びに来たというユニークな背景が融合。ルブタンやジミーチュウなどのシューズブランドとコラボレーションを実現してきた。

斬新な提案を得意とする「ダロワイヨ」も注目。スピーゲルが愛するスリッポンシューズで有名な、フランスのブランド「リヴィエラ」も抱き込んだ。スピーゲルの助言をもとに、フランス・デザートチャンピオンでもある「ダロワイヨ」のシェフ・パティエシエ、ジェレミー・デル・バルが、イスラエルを彷彿とさせるエキゾチックな風味を2種、生み出すことに成功。1つは、酸味のある中東独自のスパイス「スマック」とゴマ風味のマドレーヌ生地に、バラの花びら入りラズベリーのコンポートとゼリーを重ねたもの。もう1つは、オレガノ、タイム、ゴ
マなどの入った中東の代表的なミックススパイス「ザアタル」風味のレモンケーキに、レモンマーマレードとゼリーを重ねたもの。「リヴィエラ」の人気のカラフルなビニール・シューズをフォルムのモデルとし、チャーミングな見た目と味わいに仕上がっている。SNSでの宣伝拡散も視野に入れた、現代ならではの商品開発だ。

Reported by Aya Ito

本記事は雑誌料理王国317号(2021年8月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は317号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする