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個人の食の嗜好を見える化する、ニチレイの新たなサービスとは?


個人の食の嗜好を見える化する、
ニチレイの新たなサービスが本格始動

「好きな食べ物は何ですか?」。そう聞かれて困ったことはないか。好きな食べ物など数え切れぬほどあるし、
その日の気分や天候によって食べたいものは変わってしまう。そんな個人の食の嗜好を見える化するサービスが本格始動した。

関屋英理子氏
2000 年、株式会社ニチレイ入社。新商品の企画立案から生産物流管理まで一貫して担当。2014 年、農林水産省に出向。2017 年に帰任し、新規事業開発を担当。

ニチレイ「conomeal」

その日のその人にとって最適な献立を提案するアプリが誕生

 日本の冷凍食品業界でトップシェアを誇るニチレイは、食のパーソナライゼーション分野において新たな挑戦を始めている。食の嗜好性を可視化するサービス、その名も「conomeal (このみる)」だ。

サービス第1弾の「conomeal kitchen」(このみるきっちん)は、個人が持つ食意識をタイプ分けして、その日の気分やシーンによって最適な献立を提案してくれるアプリケーション。9月30日からテスト版、11月上旬から本番用の配信がスタートした。

 事業開発責任者の関屋英理子氏によると、食の嗜好は大きく分けて3要素で構成されるという。個人がもともと持っている食意識、「楽しい」「悲しい」などその日の心理状態、誰とどんなシーンで食べるかという環境の3つだ。この“食意識”とは食に対する潜在意識のこと。アプリでは、「いつもの食事で重要視することは?」「クタクタで帰ってきた日に食べたいものは?」など6つの質問に答えて、食嗜好のタイプ分けを行なう。さらに心理状態や環境に関する情報を設定して、その日のその人にぴったりな献立を提案してくれる。

その結果、フローズンミールに求める役割も、利便性とともに、ワンランク上の食卓への手助けというように変化。こうした動きに応じて、ロイヤルデリは「世界各国の料理を楽しめるフローズンミール」を掲げ、リブランディングした。「ロイヤルデリを召し上がることで、海外旅行で口にした現地の味、国内の専門レストランへ行かれた時の特別な味を思い出していただけると嬉しいです。楽しい会話のきっかけにしていただければ、と思います」と庵原氏は話す。

 6つの質問と食嗜好タイプは、ニチレイがこれまで商品開発をする中で、約2000人に答えてもらった結果を集約させたものだ。また同社は商品開発において、大衆に刺さる「おいしさ」を叶えようと味や食感、風味などを調整するために、サイコメトリクス(心理計量学)や独自の香り測定技術を用いてきた。「これまでマスに向けられていた技術を、個人に寄り添った形で活用できないかと考えたのがconomealです」と関屋氏は話す。

アプリは日々学習する。今まで気づかなかった食の嗜好を発見するきっかけになるかも

関屋氏はconomealのアウトプットの形を探る中で、日々の食に対する悩みを解決するサービスにしたいと考えた。「ここ数年の生活調査では、家事における一番の悩みは、献立だとされています。自動で決めてくれるのは便利ですよね。またこのアプリは学習します。好みであるはずのレシピがある条件で選ばれなかった、そんなシチュエーションのデータも蓄積し、季節性も加味するので、ユーザーが気づかなかった新たな食の嗜好を発見するきっかけになるかもしれません」と関屋氏。

プロジェクト立ち上げからアプリのローンチまで3年を費やし、ここから数年は改良に力を注ぐ。その後は、蓄積した食嗜好のデータを他企業と共有した事業を展開していく方針だ。

text 笹木菜々子

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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