ドミニク・コルビさんが全国各地で見つけたとっておきの食材


日本各地の自然が育んだ食材が〝コルビのエスプリ〞を生む

ル・シズィエム・サンス・ドゥ・オエノン(銀座) ドミニク・コルビさん

三重・熊野の特産品の「新姫」という新種のかんきつ類や、老舗の本みりん、紀
州特産の山椒……。日本の食材が、ドミニク・コルビさんのモダン・フレンチには欠かせない。


古々美醂(左) 新姫(右)

「古々美醂」は江戸時代から続く岐阜県の老舗の3年熟成本みりん。フォアグラの味付けに欠かせない。三重県熊野市新鹿町で発見され、1997年に品種登録された「新姫」。「酸味がやわらかなので、魚介類の味を引き立てる」とコルビさん。1袋5個入り150円、果汁100ml、700円

古々美醂(白扇酒造)
岐阜県加茂郡八百津町伊岐津志208-3 
☎0574-43-3835
www.hakusenshuzou.jp

しかし、鴨はフランスから直輸入のシャラン産に限る。たとえば、「栗とヘーゼルナッツのクルートを纏ったシャラン産鴨胸肉のロースト」には、コルビさんがこだわる最高級の鴨が使われている。クルートに使う栗もフランス産。その一方で日本各地を訪ね歩き、日本の食材を〝発見〞するのが、コルビさんの週末の過ごし方でもある。

「初めて来日した18年前は、日本料理のことはまったく知りませんでした。まかないで食べるのもフランス料理ですから。ところが、当時の上司が連れていってくれたお寿司屋で食べたお鮨の何とおいしかったことか。これに魅せられて、日本食を食べ歩きました」。そして、コルビさんが得意とする「新鮮な驚き」を表
現するモダン・フレンチに日本の食材や調味料が合うことを発見した。


「フォアグラの味付けには、熟成したみりんを加える。このコクのある甘味がフォアグラの味をひき立てる。『熊野の新姫』は、魚介類の下味に使う。レモンよりもまろやかな香りと酸味が気に入っています」

栗とヘーゼルナッツのクルートを纏ったシャラン産鴨胸肉のロースト
トリュフと里芋のピューレ鴨はシャラン産、栗はクリューズ、トリュフもフランスだが、里芋は石川県のもの。甘味と粘りがやわらかなピューレになりトリュフのピューレと合う。

芽ひじきは、ふわっとしたその食感が好きで、これもフォアグラの上に飾る。紀州の山奥で採れる山椒は、ミルで砕いて、コショウのように使う。これからもコルビさんの日本の食材探求の旅は続く。

芽ひじき

ふわっとした軟らか食感が「面白い」とコルビさん。フォアグラの上に飾る。カルシウム、ミネラル、植物繊維が豊富なのもよい。500g、2950円(伊勢産)

芽ひじき(北村物産株式会社)
三重県伊勢市東大淀町305
☎0596-37-2133
http://www.hijiki.jp

ドミニク・コルビさん

1965年、パリ生まれ。「ラ・トゥールダルジャン」パリ本店副料理長を経て94年に来日、「ラ・トゥールダルジャン東京店」でエグゼクティブ・ディレクターを勤める。03年から「ル・シズィエム・サンス・ドゥ・オエノン」の指揮を執る。

ル・シズィエム・サンス・ドゥ・オエノン
le 6eme sens d’ OENON
東京都中央区銀座6-2-10
☎03-3575-2767
● カフェ11:00~22:00 レストラン
※要予約 12:00~14:00(L.O)18:00~21:00(L.O)
●日、祝休
●4500円~
●24席
http://www.6eme.com

本記事は雑誌料理王国221号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は221号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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