「医食同源」にこだわりたい!人気3店、Vol.3「味坊」


看板メニュー「炭火羊肉鍋セット」

「味坊」の看板メニューのひとつ「炭火羊肉鍋セット(ラム肉のしゃぶしゃぶ)」ラム肉の薄切り、白菜、ダイコン、水菜、豆腐、春雨などをコクのある豚骨スープに通して食べる。
炭火羊鍋

「味坊」の看板メニューのひとつ「炭火羊肉鍋セット(ラム肉のしゃぶしゃぶ)」1人前1500円。
ラム肉の薄切り、白菜、ダイコン、水菜、豆腐、春雨などをコクのある豚骨スープに通して食べる。スープには薬膳に使うトウジン(血圧を下げる作用などがある)、クコシ(ビタミン豊富)、ナツメ(鉄分やカルシウムを含む)などを使っている。

ただし、鍋料理で「絶対に変えないと決めている」ことがある。それは銅鍋を使い、炭で調理すること。現在は中国でも、ガスや電気の鍋で提供するモダンな店が増えているが、梁さんは、あくまでも昔ながらの炭にこだわり、銅鍋は北京から仕入れている。「炭を使った時の熱の伝わり方と、電気やガスとは違う。調味料や食材だけでなく、調理法にこだわることも大切だと思います」

この言葉通り、たとえば鍋に入れる豆腐は一度冷凍してから使う。「故郷では、豆腐を雪中で保存していました。冷凍期間は長いほどよく、水分が抜けてスポンジのようになる。これがスープをよく吸って、とてもおいしいのです」
日本でも鍋が恋しくなる季節。梁さんの料理とやさしい笑顔が心身ともに和ませてくれるだろう。「医食同源」が、人間のために人間が考え出した知恵なら、それを伝える人もまた、愛ある人であってほしい――。
「味坊」を訪れるゲストはそれを求めて、今日も店にやってくる。

厨房でフライパンをふりながら、「料理の師は母親」と語る梁さん。母親とは野草摘みにも出掛ける。「お酒の飲み過ぎで肝臓が疲れている人は、タンポポの葉をかじったり、ジュースにして飲むといいですよ」。

「風邪には、お湯にショウガの千切りや黒砂糖を入れて飲んでみて」と、ゲストに「医食同源」に基づくアドバイスをすることもある。
ビオワインについては、日本で最初に自然派ワインを紹介したという勝山晋作さん(左)に相談しながら仕入れている。

医食同源の一皿「豚バラ肉と白菜漬け煮」

豚骨のだしの中に、豚バラ肉、自家製白菜漬け、春雨を入れて煮込む。豚肉の脂の甘さと白菜漬けの【豚バラ肉と白菜漬け煮】酸味がバランスよく口の中で調和する。ハッカク、花山椒、仕上げにのせたパクチーが旨味を引き立てる。
豚バラ肉と白菜漬け煮
豚骨のだしの中に、豚バラ肉、自家製白菜漬け、春雨を入れて煮込む。豚肉の脂の甘さと白菜漬けの酸味がバランスよく口の中で調和する。ハッカク、花山椒、仕上げにのせたパクチーが旨味を引き立てる。980円
レシピはこちらから

Hosho Ryo
中国・東北地方にある黒竜江省のチチハル出身。
18年前に来日し、東京・足立区で中華料理店を開くが、2000年に移転。神田駅のガード下に東北料理専門店「味坊」を開店させた。
料理店での修業経験はなく、母親の家庭料理から学んだ。

味坊/Ajibou
東京都千代田区鍛冶町2-11-20
☎03-5296-3386
● 11:00~14:30、17:00~23:00
●日 祝休
●コ ース 3000円~
●80席

上村久留美=取材、文 依田佳子=撮影
text by Kurumi Kamimura photos by Yoshiko Yoda

本記事は雑誌料理王国第255号(2015年11月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第255号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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