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【イベントレポート】福井県の食材をテーマにした「料理王国オンライン料理講習会」を開催!


2021年11月1日(月)~30日(火)の1ヶ月間、東京、神奈川のレストラン76店で、福井県の食材を使った料理や日本酒を提供する「福井美味フェア~#ふくいご縁の店で味わう~」のフェア開催に先立ち、福井県の食材の魅力を伝える「料理王国オンライン講習会」が2021年10月18日(月)に行われた。

イタリアの下町にも通じる雰囲気をもつ門前仲町(江東区)で歴史を刻む名店「Passo a Passoパッソアパッソ」の有馬邦明シェフが講師として登場。有馬シェフは実直に生産者と向き合い、素材を活かしたイタリア料理を作ることに定評がある。生産者ともお客様とも顔を合わせ、それを「つなげる」ことだと信条をもちリスペクトを忘れない。

そんな有馬シェフの考え方や技術を学びたいと、今回のオンライン料理講習会には、全国から70名以上の飲食業関係者、料理教室主宰者が参加申込をしてきた。

「Passo a Passoパッソ・ア・パッソ」有馬邦明シェフの福井を味わう3コース!

レッスンメニューはデザートを含む3コース構成で進行。福井県産の素材の魅力を最大限に引き出したレシピだ。

1. セイコガニとピスタッキオのリゾット
2. 鹿肉のカツレツ 九頭竜まいたけとはまな味噌のソース添え
3. 上庄かみしょうさといもとメリンガータのパンナコッタ

講義は、何度も福井県に訪れている経験のある有馬シェフが体験したエピソードとともにレシピに沿って展開した。

   「セイコガニ」

漁期は2ヵ月だけの希少な「セイコガニ」を使った「開高丼」を思わせる色鮮やかなリゾット

まずはセイコガニを使った「セイコガニとピスタッキオのリゾット」からスタート。日本海、冬の味覚といえば越前ガニ。11月に入ると解禁になり、港は一斉に活気づく。越前ガニとはオスのズワイガニのこと。対してメスの越前ガニのことは福井県では「セイコガニ」と呼ばれ、25cm前後とオスに比べると小さめだが、最大の特徴はミソ(卵巣・内子)と卵(外子)だ。解禁直後の2ヵ月間だけが旬になり、越前ガニでは味わえないような濃厚な味を楽しめる。

 「開高丼」からヒントを得たエピソードを語る有馬シェフ

これは食通の文豪・開高健も好んで食べた食材として知られており、特にミソを和えたセイコガニの丼は地元の老舗旅館のオリジナル「開高丼」(内子、外子、カニの身全て使用)として、全国から食通が訪れる。有馬シェフはこの「開口丼」に感銘を受け、セイコガニの要素をすべて使用したリゾットを考えた。さらに、有馬シェフは今年開催された東京オリンピック2020のイタリアのロードバイクチームのシェフサポート担当。その際にチームのイタリア人シェフがピスタッキオ(ピスタチオ)をリゾットに使用していてその美味しさにヒントを得た。

リゾットに適した米も国産のカルナローリ種を使用。

ピスタッキオ(ピスタチオ)とバジルのペーストを加えて色鮮やかに仕上げる。

トップにセイコガニ卵をたっぷりのせてできあがり。まさに開高丼スタイル。

ジビエ猟の現場を知る有馬シェフが野生の鹿肉でも絶対美味しくなるコツを伝授

全国各地をまわり、猟師との交流を通じてより質の高いジビエ料理を提供している有馬シェフは、野生の動物のため常に安定しない状態に個体差があるジビエを料理することで定評がある。「ぜひ有馬シェフに使ってほしい」という生産者も多い。今回使用した鹿のもも肉もいつもお願いしている福井の猟師さんから届いたものだ。肉質の個体差が大きいジビエをいかに美味しく料理できるかを伝授してもらった。

鹿肉の繊維をたたき、柔らかくすることで筋肉の硬さのばらつきをなくした。また福井県の伝統料理「はまな味噌」を下味に使用することで臭みを消し旨味と風味を加えた。

またイタリア料理ではパンをすりおろしてパン粉にした揚げ物が一般的で細かいパン粉が特徴的だ。これにおろしたチーズやハーブを混ぜることで香り豊かに香ばしく仕上がる。

有馬シェフがいつも仕入れている猟師からの鹿肉。いつも感謝の気持ちで料理をしている。

はまな味噌は、福井県の代表的な郷土料理で茄子やしその実など味噌に加えた“おかず味噌”。鹿肉の下味に使用する。

少ないオリーブオイルで揚げ焼きしカリっと香ばしく仕上げる。

photo by 料理王国

香ばしく揚げ焼した鹿肉のカツレツと九頭竜まいたけのソテー。

ここでしか育たない希少な「上庄さといも」がここでしか学べないイタリアンデザートに

福井県大野市で古くから栽培されてきた「上庄さといも」。特長は、なんといってももちもちとした食感。通常のさといもよりも小ぶりながら実の締まりが良く、地元では煮物や郷土料理「のっぺい汁」などに使われ、日常食として親しまれてきた。ここでできた種いもをほかの地域に持っていっても、同じさといもはできないという。上庄独特の気候、水、土壌が、おいしいさといもづくりに寄与している。皮と身の間が特に美味しいと有馬シェフは言う。皮はたわしなどでこするなど厚くむきすぎないことがコツ。

有馬シェフはこの上庄さといもを使ってパンナコッタを作った。ゆでた上庄さといもとメリンガータ(卵白を焼いたメレンゲ)を牛乳と砂糖を煮立たせ上庄さといもの食感を活かしたパンナコッタ生地にした。また唐辛子を加えることで切れの良い後味になる。イタリアではレモンの皮などを使うことが多いそうだ。

ねっとりとした上庄さといもが入ったパンナコッタは素材の風味が活きた口当たりの良いデザートに仕上がった。パンナコッタはお好みのはちみつやジャムを添えたり、オリーブオイルをかけても美味しい。

さといもとメリンガータを煮立たせる。唐辛子を入れることキレのある後味に仕上がる。

福井県の食材と生産者にほれ込み通い詰めてかれこれ5年の有馬シェフ。

仕上げには栗のジェラートとチュイル、青いトマトのマルメラータ(ジャム)を添えた。

福井 美食フェア ~#福井ご縁の店で味わう~
https://cuisine-kingdom.com/fukuibishoku

2021年11月1日(月)~30日(火)の1ヶ月間、東京、神奈川のレストラン76店で、福井県の食材を使った料理や日本酒を提供します。来店者向けプレゼントキャンペーンでは、抽選で50名様に福井県産ブランド米いちほまれをプレゼント!

主催:福井県、福井市

有馬 邦明シェフ

1972年大阪府生まれ。国内のイタリア料理店での修行後、1996年に渡伊。帰国後、2002年に門前仲町(江東区)に「パッソ ア パッソ」をオープン。イタリアの下町にも通じる雰囲気を持つ門前仲町で綿々と歴史を刻む名店。

パッソ ア パッソ
東京都江東区深川2-6-1 アワーズビル1F ディナー 18:00~ (L.O.21:30) 水曜休

photo by 小沼 裕介


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