ラグジュアリー日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」からの最新作「白奏 HAKUSO」が登場。様々なスタイルを提案してきたシリーズだが、今回は瓶内二次発酵のスパークリング。スパークリングというカテゴリーではあるのだが、発泡性の日本酒というイメージの枠に収まらない、新たな可能性を持っている酒でもある。
「SAKE HUNDRED」の日本酒は、全国各地の造り手と手を取り合い生まれている。今回の「パートナー酒蔵」は熊本・阿蘇の河津酒造。「SAKE HUNDRED」といえば磨きの追求もその特徴だが、今回も18%とかなりの精米歩合。スパークリングということでガス圧との関係など、精米歩合については逡巡もあったというが、試行錯誤の結果、それが見事に透明感、瑞々しさに反映されている。泡は立ち上るというより液面に程よく溶け込み、にごり系、ガス圧強めの日本酒スパークリングを想像していると、この柔らかさに驚くかもしれない。阿蘇の名水も寄与しているのだろうか。
香りには白い花とその蜜。アルコールの高さや重さは感じられず、アクセスのしやすさが想像できる。口に含んで感じるのは、美しい和三盆を綿菓子にしたような「ふわり」でもあり「ほわほわ」とした優しく上質な甘やかさと、スパークリングらしいドライな軽快さのバランス。重すぎない、甘すぎない、だがキレすぎない。ボダニカルやトロピカルフルーツ、キャラメル、フラッグシップである「百光」の完熟と早熟両面の白桃という、シリーズ各アイテムのような明確だったり花開くような植物や果実感ではなく、それらはつつましく、やはり和のほっこり感であったり、なつかしさを洗練させたような印象だ。泡の口当たりも大らかな強さや逆にストイックすぎるものではなく、小気味の良さはあっても圧力はない。スパークリング=溌溂だけ、ではなく、安らぎの時間に誘ってくれる感。次第に、清涼感とほろ苦さのあるハーブ系ニュアンスが出てくるが、これもあくまでも溶けこんでいて押しつけてくることはない。
飲み頃の温度は6度ほどの低温を推奨したい。冷えていてもなお、いやむしろ華やかさや甘やかさを心地よく感じられる。特に蒸し暑い日本の夏にはとても心地がいい。もちろん開栓は直前に。日本酒スパークリングでありがちな開栓時の過剰な吹き出しの心配がないのもうれしい(もちろんしっかり冷温で落ち着かせてからの開栓を)。グラスはフルートではなく、ヴィンテージシャンパーニュや白ワイン用の少し膨らみのあるグラス。ステムは細身でやや繊細な方向で。
「白奏 HAKUSO」は、食中酒としてだけではなく、アペリティフにもちょうどいい。「日本酒スパークリングは、溌溂過ぎる、重すぎる、甘すぎる」といった感覚をお持ちの方には、新たな発見として、日本酒スパークリングの絶好の入口となってくれるだろう。
「SAKE HUNDRED」 白奏 | HAKUSO
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