日本ほど鶏肉の質にこだわる国はないのではなかろうか。○○鶏を謳った鶏肉は星の数ほど売られている。
そのなかで、レストランではどんな鶏肉を使っているのか?料理人が実際に使用する地鶏&銘柄鶏マップを紹介する。
(地)・・・地鶏
(J)・・・地鶏のうち、特定JAS規格の認定を受けたもの
(銘)・・・銘柄鶏
2005年本格デビュー。軍鶏、ロードアイランドレッド、名古屋コーチンの三元交配種でつくられ、適度な歯ごたえとコクのあるうま味を持つ。
青森県畜産試験場が作出。横斑シャモと速羽性横斑プリマスロックの交配種。肉のキメが細かく、美しい赤身を持つ。
岩手県南部の清く澄んだ自然水と、ブナやナラの木の樹液、海藻、ヨモギ粉末などと、長期間休薬飼料で飼育。より安全にこだわる。
フランス赤どりを独自交配。植物性原料のみを使用し、肉質がジューシー。
動物性原料を抑えた専用飼料で飼育。鶏臭さがなく、さわやかな味わいが身上。
縄文時代から秋田県北部に生きてきた赤褐色の在来種を交配。放し飼いでじっくり育てられる。山鳥にも似た野趣深い味わいで、適度に脂肪があり、独特の歯ざわりも心地よい。
空気のきれいな環境で、植物性・原料を特殊配合した飼料を給与し、よく運動させた鶏。皮下脂肪が薄く筋肉繊維が発達しているので、歯ざわりがよく、かつやわらかで、甘みとコクがある。
開放鶏舎で、抗生物質の入らな地い専用飼料によってのびのびと飼育。肉に締まりがあり、脂肪球が細かい。
歯ごたえとやわらかさ、ジューシーさのバランスがよい。消費者に幅広く受け入れられるよう、価格は低め。
父鶏は大型軍鶏、母鶏に肉用鶏の交雑種を用い、うま味とコクを追求。しっかりとした歯ごたえがある。
昭和63年全国特殊鶏味の品評会で第1位を獲得。通常の約3倍の飼育期間をかけて飼育された鶏は、脂肪が低く肉に締まりがある。
仕上げの期間にミルクを与えることで、鶏特有の臭みを消し、やわらかい食感の鶏肉に仕上げた。
プレノアールとロードアイランドレッド、軍鶏の血を引く鶏。自然養鶏のような放し飼いで、112~130日と長く飼育。脂肪分が少なく、風味、コクともに優れる。
薩摩鶏系と比内鶏系の一代雑種を雄に、レッドロック系を雌に交配。80日以上かけて育てられ、脂肪が少なく赤みを帯びた肉と、見た目の美しさが特徴。
薩摩鶏系と比内鶏系の一代雑種を雄に、レッドロック系を雌に交配。80日以上かけて育てられ、脂肪が少なく赤みを帯びた肉と、見た目の美しさが特徴。
脂肪が少なく、鶏特有の臭みがない。肉に弾力性があり、日本古来のかしわを思わせる食感。
肉のキメが細かく、うま味が強い。脂肪が少なくあっさりした味わいで、特にムネ肉のおいしさに定評がある。
地養素を与えることで、鶏肉臭がほとんどなく、シャキシャキクセのない肉質をつくりだす。
軍鶏純系に最も近い肉用鶏といわれる。赤身が濃く、肉の熟度が高いため、調理してもクッキングロスが少ない。
県独自の軍鶏の系統を引く。広い飼育環境で十分な運動と緑飼で約4カ月肥育。肉が程よく締まっており、調理がしやすい。
岐阜地鶏改良種の雄と大型ロードアイランドレッド交配種の雌を交配。肉はコクと歯ごたえがある。
100%血統の由緒正しき地鶏。肉は赤味を帯び、適度な香りと弾力性に富む。歯ごたえとコクのあるうま味は申し分ない。
(京都府、滋賀、岡山、奈良、三重、広島県)
全日程を無薬飼料で飼育。ポストハーベストフリー、遺伝子組み換え操作なしのコーンを使用。肉は繊維のキメが細かく、歯ざわりがよい。
シャモを交配して長期間飼育。身がきゅっと引き締まっており、肉の素材を生かした調理に適している。
かつて名品、大和のかしわの復活を目指して作出。うま味とコクにこだわり、正肉は長時間煮込んでも型崩れしにくい。
軍鶏とホワイトロックを交配した、アミノ酸バランスのよい鶏。肉質はきめ細かく繊維質、皮膚が薄く、高タンパク・低カロリーで幅広い年齢層に受容されている。
明るく風通しのよい開放鶏舎と広い運動場に、坪30羽でゆったり飼育。長期飼育と適度な運動、飼料に緑茶成分を添加し、低脂肪でヘルシーな鶏肉に仕上げる。
(鳥取県、島根県)
保水性に富む。抗菌性物質を含料に使用。さらに八女茶を添加で生産。特殊飼料と120日の長期飼育で、うま味、コク、歯ごたえのバランスがとれている。
大山の麓で、親である種鶏の育成から処理まで一貫した生産体制をもつ。処理においてはエアチラーシステムを採用し、ドリップを少なくすることに成功。より鮮度が保たれる。
その名の通り父鶏にコーチンをもつ。心地よい歯ごたえとコクは煮物向き。2005年11月、特定JASの認定を受けた。
地鶏の特定JAS認定第1号を取得。うま味成分のアミノ酸組成が多く含まれ、コクのある味わい。肉質は弾力があり、硬さよりもむしろ粘りがある。
横斑プリマスロックとホワイトロックを交配し作出。遺伝子組み換え操作や収穫後に農薬散布をしていないトウモロコシを飼料に使用。さらに八女茶を添加するといった工夫を施している。
日本最大級の地鶏。昭和初期に絶滅した幻の鶏が10年の歳月をかけて復活。インパクトのあるネーミングと深い味わいが人気。
脂肪が少なく、地鶏のコクと軍鶏もあっさりした味わいがうまく融合。硬さがちょうどよく、臭みも少ないので、鶏の苦手な人でも試しやすい。
飼料にミネラル、ヨードなどの栄養素をたっぷり含んだ海藻類をブレンドし、ビタミンEを強化。低脂肪、低カロリー、低コレステロールにこだわる。出荷前35日以上を休薬期間とし、安全面も追求。
赤どりならではの歯ごたえとコクが魅力。出荷前30日以上を休薬期間とし、より一層の安全を図る。
薩摩鶏とロードアイランドレッドを交配。1㎡あたり10羽以下の平飼い育ちで、健康でおいしい鶏づくりを行っている。
筋繊維が細かく、弾力、締まりがよいのが特徴。脂肪が少なく保水性に富む。抗菌性物質を含まず、非遺伝子組み換えのトウモロコシを飼養した飼料を給与。
薬草を配合した植物性飼料のみで飼育。うま味、歯ごたえが優れているのはもちろん、臭みが少ないのが特徴。
羽根則子=取材、文
本記事は雑誌料理王国141号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は141号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。