19世紀以降、王侯貴族たちが集うリゾート地として知られるフランスのビアリッツ。ここに王侯貴族のみならず、数々の映画スターたちをとりこにしてきた、世界でも有数のバスク菓子専門店「ミルモン」があります。この「ミルモン」で修行した日本人パティシエ、戸谷尚弘氏。彼が2015年、東京・白金高輪に開いた洋菓子店「メゾン・ダーニ」。1日に何度も焼き上げる、この店の出来立てのガトーバスクのおいしさを知る人は多いと思います。ですので今回は変化球を。
ガトーバスクは店頭でしか購入できませんが、ご紹介する「マカロンバスク」はオンラインショップでも購入することが可能です。
“マカロン・パリジャン”の原型になったと言われる“マカロンバスク”
“マカロン”は聞いたことがあるけれど、「マカロンバスク」は初めて耳にしたという人も多いのでは? 私たちが数年前から目にするあのカラフルでかわいらしいマカロンは、正しくは“マカロン・パリジャン”と言われるもので、メレンゲに砂糖、アーモンドプードルを加えて焼き上げたものでクリームやガナッシュなどをはさんでいます。
対して「マカロンバスク」は「マカロン・パリジャン」が生まれる300年前に誕生。ルイ14世とスペイン王妃マリー・テレーズが結婚式を挙げた際に、王室御用達のパティシエが献上したのが始まりと言われています。
マカロンバスクはアーモンドプードルと卵で作られるとてもシンプルな焼き菓子ですが、それだけに素材にこだわらないとおいしいものはできません。そのため「メゾン・ダーニ」ではスペイン産の良質なアーモンドと、ケーキや焼き菓子のために作られた雑味のない徳島県産のハーブ卵を使用。
食べてみるとわかりますが、一瞬さくっとした歯ごたえを感じたかと思うと、次の瞬間しっとり・ねっちりとした食感も味わえる……たった1粒で食感が複雑にからみあってできている繊細な菓子であることがわかります。
この複雑な食感を作り出すため、「マカロンバスク」を作る際、シェフはオーブンから目が離せないといいます。そのためどうしても1日に生産できる量が限られてしまうとのこと。先日も午前中にお店に行きましたが、あれだけ店頭に並んでいたのにお昼前には売り切れていました。だからこそ確実に手に入れたい人はオンラインショップを利用するのが賢明だと思います。
そしてこの「マカロンバスク」が入った缶。
これは戸谷シェフが修行先のバスク地方にあるギャラリー「Aski(アスキー)」で出会ったアーティスト・Patrick Cossu(パトリック・コシュ)氏に描き下ろしてもらったもの。
美しいお菓子の缶は数あれど、ここまで印象的で個性的なお菓子の缶はなかなか日本でお目にかかれるものではありません。
中身も外見もこだわり抜いて作られた商品。それだけに大切な人にだけ贈りたい“特別な贈り物”です。
文・写真=中田ぷう
編集者歴26年。「半径3km以内にある幸せ」を発信する記事や書籍を得意とする。グアムの達人/カルディ歴27年/コストコ歴19年/「スターウォーズ」マニア
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