「まかないがおいしくないと、そのあとの仕事に影響しますよ」
パスタは「まかないのテッパン」。アレンジがきくうえに短時間でできるので、忙しい土日に重宝するそうだ。平井さんのまかないのルールは、「売り物にできなかったり、余ったりした食材を活用して、おいしくする」だけでなく、それを「方程式」にして身につけていくことだ。りした食材を活用して、おいしくする」だけでなく、それを「方程式」にして身につけていくことだ。というのがその方程式だ。その過程で生まれたのが、マッシュルームの軸を活用した調味パウダーだ。「パスタとレバニラのおいしさを融合させたい。けれどイタリア料理だから、醤油以外の旨味がほしかった」。
努力の末、方程式を発見し、誕生したまかないは、仲間たちを喜ばせるし、「僕自身もやる気満々でディナータイムに向かえます」と笑う。まかないといえども、アイディアと独創性を大切に。その熱意が将来、お客さまを楽しませる技術につながっていく、と平井さんは信じている。
【材 料(1人分)】
鶏レバー…70ℊ/ニラ…2ℊ/シャンツァイ…2ℊ/鶏がらのスープまたは水…100㎖/ニンニクのみじん切り…2片分/オリーブオイル…40㎖/マッシュルームのパウダー、塩、トウガラシ、チーズ…適量/乾燥パスタ…100ℊ
マッシュルームのパウダーの材料(作りやすい分量)マッシュルームの軸…200ℊ/オリーブオイル…30㎖
【作り方】
1. マッシュルームのパウダーを作る。マッシュルームの軸をロボクープにかけて(A)から、オリーブオイルで炒め、150℃のオーブンに半日ほど入れておく(B)。
旨味が凝縮したマッシュルームのパウダーは、パスタはもちろん、いろいろな料理の調味料としても使えます。
2. 鶏レバーには塩をふり、フライパンにオリーブオイルを注ぎ、塩をふった鶏レバーを加熱しておく(C)。
鶏レバーには火を入れすぎないこと。あとからもう一度火にかけるので、ここでは半生に仕上げておきます。
3.別のフライパンにオリーブオイル、ニンニクのみじん切り、トウガラシを入れてじっくり加熱。ニンニクの香りが立ってきたら、鶏がらのスープを加える(D)。
鶏から出汁をとったスープならなんでもOK。作り置きのスープがない場合は水でもかまいません。
4. 1.7㎜の乾燥パスタを塩分濃度約2%の湯で、9分ほどゆでる(E)。
レバーやニラなど、味わいのはっきりとした食材に合わせるには、太めのパスタを選びましょう。
5. 3に4を入れて混ぜ合わせたら(F)、 2 とマッシュルームのパウダーを入れて、レバーとマッシュルームの旨味をパスタに含ませるように加熱する(G)。
パスタにソースを吸わせるような感じで、じっくり加熱しましょう。
6. 塩で味を調え、水分がなくなってきたらニラを入れて馴染ませる。チーズをかけ、シャンツァイを加えて仕上げる(H)。
「パスタ料理をおいしく仕上げるためには、なんといってもゆで加減が大切です」と平井さん。「シーザーサラダ風パスタ」のように硬めにゆで上げたほうがよいものもあれば、表示時間通りにゆでたほうがよい場合も。最適なゆで時間を研究することでまかないもレベルアップしていく。
生ハム(切れ端)…10ℊ/レタスなどの葉野菜…5枚くらい/鶏がらのスープまたは水…100㎖/ニンニクのみじん切り…2片分/オリーブオイル…40㎖/塩、粉チーズ、パン粉…適量/乾燥パスタ…100ℊ
【作り方】
1. フライパンにオリーブオイル、ニンニクを入れて加熱。ニンニクの香りが立ってきたら、生ハムを入れて炒める(A)。生ハムはトッピング用に半分取り出しておく(B)。
生ハムの代わりに、パンチェッタの切れ端なども利用しましょう。
2. パスタは1.4㎜を選び、塩分濃度約2%の湯でゆでて硬めのアルデンテに仕上げる。
野菜とともにパスタの歯応えを楽しみたいので、細めのパスタをやや硬めにゆで上げます。
3. 1のフライパンの中に鶏がらのスープを入れて、生ハムの旨味を煮出す。生ハムの旨味のあるソースができたら生ハムは取り除く。そこに2を入れて乳化させたら、食べやすい大きさにカットしたレタスなどの葉野菜を入れてさっと和え(C)、トッピング用の生ハムを戻す。
生ハムは、半分は旨味を出すために、もう半分はトッピング用に使います。旨味を出したほうは破棄します。
4. 塩、コショウで味を調え、粉チーズとパン粉をふって仕上げる(D)。
パン粉の代わりにクルトンを使っても、シーザーサラダの風味と食感が楽しめます。
トウガラシ…2本/ニンニクのみじん切り…2片分/オリーブオイル…40㎖/黒コショウ、イタリアンパセリ…適量/乾燥パスタ…100ℊ
【作り方】
1. フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切りを入れて、ジックリ炒めて香りを出す(A)。香りが立ったらトウガラシを加える。
2. 1.7㎜の乾燥パスタを塩分濃度約2%の湯でゆでる。ほんの少し芯が残る感じのアルデンテに仕上げて皿に盛る(B)(C)。
食べ応えがある太めのパスタがおすすめです。
3. 1にイタリアンパセリを入れ、塩、黒コショウで味を調えたら2にかける。
本来のペペロンチーノは、フライパンの中でソースとパスタのゆで汁とを混ぜて乳化させますが、まかないではその手間を省いています。またイタリア料理で、トウガラシとコショウを一緒に使うことはあまりなく、トウガラシと黒コショウを合わせているのは平井流です。
Masato Hirai
1973年、静岡県生まれ。日本で2年半働いた後、渡伊。ジェノヴァ、ピエモンテなどのレストランで研鑽を積み、帰国後、「ラ・ベットラ」「クラッティーニ」の名店で腕を磨く。2004年に「ダル・マット」をオープン。06年に恵比寿に2店舗目を開く。現在4店舗を展開。
上村久留美=取材、文 富貴塚悠太=撮影
本記事は雑誌料理王国第297号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第297号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。