食マニアを熱狂させるイタリアン。ダル・マットの「ペペロンチーノ」


オリジナリティのために自分なりの方程式を確立することが大切

「まかないがおいしくないと、そのあとの仕事に影響しますよ」

パスタは「まかないのテッパン」。アレンジがきくうえに短時間でできるので、忙しい土日に重宝するそうだ。平井さんのまかないのルールは、「売り物にできなかったり、余ったりした食材を活用して、おいしくする」だけでなく、それを「方程式」にして身につけていくことだ。その過程で生まれたのが、マッシュルームの軸を活用した調味パウダーだ。「パスタとレバニラのおいしさを融合させたい。けれどイタリア料理だから、醤油以外の旨味がほしかった」。

努力の末、方程式を発見し、誕生したまかないは、仲間たちを喜ばせるし、「僕自身もやる気満々でディナータイムに向かえます」と笑う。まかないといえども、アイディアと独創性を大切に。その熱意が将来、お客さまを楽しませる技術につながっていく、と平井さんは信じている。

黒コショウの香りと辛みが絶品
「ダル・マット」平井正人さんのペペロンチーノ

材 料(1人分)

トウガラシ…2本/ニンニクのみじん切り…2片分/オリーブオイル…40㎖/黒コショウ、イタリアンパセリ…適量/乾燥パスタ…100ℊ

作り方

1. フライパンにオリーブオイルとニンニクのみじん切りを入れて、ジックリ炒めて香りを出す(A)。香りが立ったらトウガラシを加える。

2. 1.7㎜の乾燥パスタを塩分濃度約2%の湯でゆでる。ほんの少し芯が残る感じのアルデンテに仕上げて皿に盛る(B)(C)。

食べ応えがある太めのパスタがおすすめです。

3. 1にイタリアンパセリを入れ、塩、黒コショウで味を調えたら2にかける。

本来のペペロンチーノは、フライパンの中でソースとパスタのゆで汁とを混ぜて乳化させますが、まかないではその手間を省いています。またイタリア料理で、トウガラシとコショウを一緒に使うことはあまりなく、トウガラシと黒コショウを合わせているのは平井流です。

普段は、店で一番の新人にまかないを任せているが、「最近忙しかったからスタッフにスタミナをつけさせたい」「野菜が足りていないかも」などの親心から、平井シェフがまかないを作ることもある。
平井正人
Masato Hirai
1973年、静岡県生まれ。日本で2年半働いた後、渡伊。ジェノヴァ、ピエモンテなどのレストランで研鑽を積み、帰国後、「ラ・ベットラ」「クラッティーニ」の名店で腕を磨く。2004年に「ダル・マット」をオープン。06年に恵比寿に2店舗目を開く。現在4店舗を展開。

DAL-MATTO
ダル・マット(恵比寿店)

東京都渋谷区恵比寿西2-7-8 Sリトリート1F・B1F
03-3780-9955
● 11:30~15:00(13:30LO、ランチは土日のみ) 17:30~25:00(24:00LO)
● 月休
● 30席
www.dal-matto.com/


上村久留美=取材、文 星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国第297号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第297号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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