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【北品川 カンテサンス】今こそ「低温調理」を見直す時 岸田周三さん

やわらかく、芯までアツアツにそれが「低温調理」の神髄

岸田さんが低温調理した肉はジューシーで「芯までアツアツ」だと、ゲストは驚く。では、「芯までアツアツの肉」は、どう仕上げるのか。赤身の色の濃さと凝縮感のある味わいが特長のバスク豚で実践してくれた。
「仕入れてから2週間ほど冷蔵庫で寝かせ、塊でローストします。バスク豚のようにサシの少ない肉の場合、骨付きのままゆっくり火を入れるのが大事です。急激に火を入れると、芯に火が入る前に表面に火が入りすぎてしまいます」

フライパンに油をひいて肉を入れた際、油がかすかに音を立てるような低温で、骨付きのまま皮目から焼いていく。
温度は低いまま、返しながら肉の表面すべてがうっすらと色付くまで焼く。この時、肉の内部はまだ生の状態。
「人は考えた分しか成長しない」がモットー。岸田さんは、先輩が遺してくれた調理技術についても深く理解して進化に努める。そうすることで自身も料理も成長するのだ。

 岸田さんは、まず表面を低温で焼き、そのあと250度のオーブンに1分間入れ、5分間休ませるという工程を25回ほど繰り返した。「低温といっても、温度が低すぎると『煮えた状態』になってしまうので要注意。また、オーブンの温度や入れる回数は、それほど大事ではありません。肉の水分量などの状態により変えるべきで、つねに状況を見極めながらアジャストするのは料理人なら当然ですよね」

カンテサンス バスク豚のロースト
バスク豚のロースト
旬の食材として付け合わせに選んだのはビーツ、サナギ茸、ジロール茸。味わい深いバスク豚にビーツの個性的な風味がよく合う。香りを生かして調理されたキノコの独特な食感がアクセントを添える。

芯が生ぬるいばかりか、肉の旨味を低下させてしまうから、前もって火入れしておいた肉を温めて出す、という方法は採らない。火入れはゲストが訪れる前から始めるが、それはちょうど食べる時に焼き上がるタイミングを見計らってのことだ。
「手間がかかりすぎると思うかもしれませんが、アラン・ パッサールシェフ、パスカル・バルボシェフに敬意を払い、彼らの手法を合理化させて、肉だけに付きっきりにならないように考案した方法です。肉を休ませている間には、別の仕事ができます。ただ、どんな肉にも有効な方法ではないので注意してほしい」
 岸田さん自身もわかったつもりになることを戒め、よりよい方法を求め続ける。謙虚な探究心が実力派スターシェフを育む理由だろう。

カンテサンス 岸田周三
Shuzo Kishida
1974年、愛知県生まれ。志摩観光ホテル「ラ・メール」、渋谷「カーエム」で修業し、2000年に渡仏。三ツ星店「アストランス」ではスーシェフまで務めて05年に帰国した。翌年に独立し、「ミシュランガイド東京 2008」で三ツ星を獲得。
カンテサンス

レストラン カンテサンス
Restaurant Quintessence

東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川御殿山1F
03-6277-0485
03-6277-0090(予約専用)
● 12:00~15:00(13:00LO) 18:30~23:00(20:00LO)
● 日曜を中心に月6回休
● コース 昼9500円~ 夜20000円~
● 30席
www.quintessence.jp


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