約500人のシェフたちに「今、注目する肉の匠を教えてください」とのアンケートを実施。多くのシェフから名前の挙がった「肉の匠」に、シェフからの質問を投げかけ、匠の技と意気込みについて聞いた。
A. これはすべての料理に通じますが、香りです。そのため、肉のそうじは焼く直前にする。そうしないと肉が劣化して、香りが逃げてしまうから。
A. 肉を冷たいフライパンにのせ、じっくり火を入れる。サラマンドルに入れたり、休ませたりするタイミングや温度については、繰り返し実践して体得するしかありません。
A. シチューなどの煮込みの残り汁や牛脂、野菜の切れ端などを上手に活用します。私の場合、最近は甘味をマデールではなく、タマネギなどから引き出しています。
A. 肉の種類や部位によってどんな調理法を選ぶかは料理人の自由。ゲストにどんな料理を食べてもらいたいか、という明確なイメージがあれば、調理法は自ずと決まると思います。
A. 肉汁を逃さないように塊でじっくり火を入れます。出た肉汁をソースにする方法もあるが、汁を逃さずに焼くのが僕の求めるロースト方法です。
A. 低温調理はぬるい温度に仕上げるためのものではありません。芯温は測りませんが、僕は生っぽい肉料理を好まないので、芯温はかなり高いでしょう。
A. 最後に強火で焼くので、高温で調理しても硬くならずに、肉汁が保てるかという点。高価な肉が「合格」とも限りません。香りについても、それが臭みに変わらないギリギリを見極めることが大切です。
A. やわらかくて旨味がたっぷりあり、消化吸収のために加熱処理されている料理。いい意味でゲストの期待を裏切るような「意外性」も欠かせません。こうした料理を現代人の脳が求めているのです。
A. 仕上げの明確なイメージ。直火、炭火、輻射熱等、「焼く」にも種々の方法があり、仕上がりも異なるからです。たとえば直火より炭火のほうが旨味は出ますが、料理によってはそれが邪魔なこともあります。
上村久留美=取材、文 依田佳子、星野泰孝、伊藤信=撮影
本記事は雑誌料理王国2015年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2015年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。