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夏の風情、素麺はどこから来た?


天の川、織姫の糸にたとえられた夏の風情、素麺

 遠く大陸から伝わったこの素麺の原型は実は索餅という菓子だった。古代中国で7月7日に亡くなった皇帝の子供の霊を鎮めるために供えられたもの。「索」は縄を綯うという意味。

「餅」はこの場合小麦粉を練ったもの。小麦粉を練って縄状にし、作られた魔除けの菓子である。室町時代にこの小麦粉を何度もひねりながら幾度も延ばし、またひねりながら延ばしという「手延べ」作業で作られたものが今の素麺になったとのこと。日本では特に七夕に素麺を食すのはその形状が天の川に似ているということもあったが、「魔除けの食材」の方がより意味をもっていただろう。旧暦の7月7日と云えば、お盆に近く、先祖が戻ってくる日でもあった。新暦の7月は梅雨の最中、旧暦七夕の方が、雲も晴れ、天の川がよく見える。

暑い盛りの鱧切り祭

 鱧(ハモ)といえば、うなぎ同様精力がつくとして、京都の夏祭りでは欠かせない食材である。中国では海鰻といい、漢字の「鱧」の意味するところは雷魚類だという。ハモという言葉の由来は、諸説あるようだがその見てくれからしても「ハフ・モノ」という蛇の語源にも似ている。長いものは昔から縁起がよいとされ、祇園祭の最中は、旬の魚、鱧で客人をもてなすことが通例となっているため、祇園祭を鱧祭、鱧切り祭ともいう。

 味が淡白なのでただ湯引きしただけで梅肉で食したり、お吸い物に入れたり、穴子のように棒寿司にしたり、鱧づくしのメニューでも飽きが来ないものである。固い小骨が多く、食すのに「骨切り」という下処理が必要であったり、かなり凶暴であるため、熟練の職人でなければ扱えない素材。だからこそ、わざわざこの時期、鱧を食すために京都へ行きたくなるのかもしれない。

半夏生の頃から旨くなる瀬戸内の真蛸

半夏という薬草が生える時期は、天から降る雨にも毒気があるとされ、井戸に蓋をして水を守り、毒気がついた野菜を食べると危険としてこの日採った野菜は食べてはならないとした。農家にとってもこの日は大事な節目の日。農作業を全て終えて、この日から休む農家もある。この頃は旬の真蛸(マダコ)がよく食べられた。特に関西では、農作物が蛸の吸盤のように根づくようにと、縁起を担いで半夏生の蛸が定着したとか。今風に考えてみると、蛸は栄養ドリンクにも含まれるタウリンという成分が豊富。タウリンは身体や細胞を正常に保つ力があるとされるので、疲れた身体に蛸は丁度よい食材といえる。

本記事は雑誌料理王国2014年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2014年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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