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【蕨駅から芝園団地エリア】未知なる食文化の発見!新中華街を旅する#3


駅前に広がる大陸中国。新中華街を探訪。

改札を出ると、そこは大陸だった。中国語や中国の食文化に明るいメンバーたちが今回訪れたのは、池袋駅北口、西川口駅、蕨駅周辺で拡大中の新中華街。都心から運賃数百円の駅前中国を体験すると、中華料理がもっと面白くなる。

その(1) 池袋駅北口エリアはこちら

その(2) 西川口駅西口エリアはこちら

今回の旅人

菊池一弘。羊肉好きのための消費者コミュニティ「羊齧協会」主席。北京での留学経験を機に中国文化への造詣を深める。新中華街研究が趣味。今回の旅の指南役。
吉野好輝。NHK world 中国語センター契約ディレクター、通訳。上海、復旦大学大学院中退。今回のツアーでは堪能な中国語力を大いに発揮。

上吉原 麻良。某外資系金融企業勤務。中国語会話レッスンをきっかけに中国文化への興味を深める。温かみのある素人目線での新中華街へのツッコミ担当。

蕨駅から芝園団地エリア

都心から見ると西川口駅のひとつ先、蕨駅から徒歩7分。住民の約半数が中国人という芝園団地では等身大でリアルな大陸の味覚を体験できる。

芝園団地はUR都市機構の賃貸住宅で住民は約5000人。そのうちの外国人居住者約2500人の大半が中国人だ。団地の中心にはスーパーを軸にした「川口芝園ショッピングモール」がある。飲食店も食料品店も八百屋も今ではほとんどが中国人経営。訪れたのは平日の夕方だったが、行き交う人々の会話はほぼ中国語。八百屋の店頭にも「芋头148円」「新到豇豆550円」「今日香菜特价」など、日本人には見慣れない簡体字が並ぶ。

UR都市機構のHPによれば、家賃は1階の3DK(52㎡)で86,700円。これに2,620円の管理費が上乗せされる。激安物件というわけでもない。
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「ひかり八百屋」の店内では、大きな水槽の中で鯉や鮒が泳いでいた…。もちろんこれも売り物。それなりの需要があるのだろう。
ショッピングモールの青果店「ひかり八百屋」の店頭には、日本人では読みにくい簡体字のPOPがズラリ。中国人の多さをうかがえる。
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「芝園ハイツ」のアーケードに入る中国食品店にて。すべてトウモロコシの粉で右から順に「粒」「粗挽き」「中挽き」「粉」。東北人はトウモロコシが大好きなのだ。

芝園団地に隣接する「芝園ハイツ」のアーケードに「酸辣粉」という看板を掲げ
た店がある。オーナーの王洪敏さんは黒龍江省ハルピン市の出身。店には「ときどき日本人も訪れる」というが「90%が中国人のお客さん」。折しも時刻は帰宅時間。20 ~ 30代と思しき勤め帰りの若者が夕食をテイクアウトするために続々と訪れる。ほぼ毎日この店で夕食を調達しているという男子は、都内のIT企業に勤めているという。王さんも訪れるお客も、流暢な日本語で世間話にも花が咲く。

「芝園ハイツ」1Fアーケードの「酸辣粉」はもと喫茶店。 “おふくろの味”を求めて夕方以降は勤め帰りの中国の若者で終始満員。

「卤肉飯」はこの豚肉の煮込みをご飯の上にのせたメニュー。大きな鍋で毎日仕込むが必ず売り切れるというこの店の名物だ。

お客のお目当ては、店の名にもなっているピリ辛の春雨スープ「酸辣粉(サンラーフェン)」600円や、大鍋で煮込んだ醤油味の豚バラ肉をご飯にのせた「卤肉飯(ルーロウファン)」600円。いずれの料理も中国人が日本人向けに営業する中華料理店の味とは異なり、本気の大陸味だが実に美味い。異国の地で営業しているにも関わらず大陸の味の再現性が高い…と感心することこの上ない。

肩を並べて同じ料理をつまみ、あーでもないこーでもないという会話を重ねていると、大陸が少し近づく感覚を味わっている自分に気付くだろう。

オーナーの王洪敏さん(奥)とお姉さん(手前)の2人で切り盛りする。客との丁々発止のやり取りがカウンター越しに行き交う。
「卤肉飯」はピリ辛味のじゃがいもの和え物が添えられて600円。「どちらかというとテイクアウトのほうが多いね!」と王さん。
「酸辣粉」の住所は「埼玉県川口市芝園町2-1 芝園ハイツ1号棟1F」。電話は無く中国版のLINE「WeChat」で連絡を取りう合う。
夜の遅い時間までこんな感じに盛り上がる。ちなみに営業時間は?と問えば「11時(頃)から22時(頃)まで」とユルめ。定休日は日曜日だ。

本記事は雑誌料理王国2019年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2019年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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