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【ニューヨーク】貧困するチャイナタウンを救え!人種差別撤廃に支援集まる


朝から賑わう飲茶レストランに行列のできる焼豚店、蛙やワニの手も扱う鮮魚店。五感を強引なほど刺激するチャイナタウンは、常に人を惹きつけてきたものだ。しかし今、そのエネルギーはない。

この1年でチャイナタウンが被った打撃は、他のエリア以上だ。ニューヨークで初のCOVID-19感染例が出る以前から、すでに風評被害で界隈の店の売り上げは60%以上減少していたという。「Jing Fong」を筆頭にバンケットルームを抱える大型店は中国人向けの婚礼や祝事のサービスがストップしたことで売り上げが85%ダウン、閉店するケースが目立つ。安価を売りに客数のボリュームに頼ることでこの地域の経済は回ってきたが、観光客や団体客を望めなければ、極めて苦しい状況だ。それに加えて、全米で増加するアジア系移民に対する差別もある。ニューヨークでも路上や地下鉄構内などでアジア系の人間を狙った暴行事件が、今年だけですでに30件ほど報告されており、事件化していないものは無数にある。

しかし、そんな不正義にニューヨーカーが黙っているということはない。飲食店や企業がアジア人への差別撲滅を啓蒙するメッセージをソーシャルメディア上で発信するほか、チャイナタウン応援の募金やサポートシステムも複数構築されている。ダウンタウンの飲食店の若手を中心に運営されているNPO組織「Heart of Dinner」は、ローカルビジネスへの寄付、アジア系高齢者への食事の提供などの活動を拡大中。ノスタルジア溢れるチャイナタウンを若い世代が守ろうとする潮流には希望を感じる。

ブルックリンに新たなメキシカンの新名所が誕生

アルミ缶を改造したグリル料理などスナックは$9~、メインは$25前後。香辛料を駆使したカクテルと楽しみたい。

ブルックリンのモダンメキシカンレストラン「Oxomoco」は、 2018年にオープンしてわずか5ケ月でミシュラン一つ星に輝いた異端の店だ。昨年には日本に上陸し、広尾の複合施設「EAT PLAY WORKS」に出店して話題となったが、オーナーのジャスティン・バズダリッチがまたしてもニューヨークのレストランシーンに旋風を巻き起こしている。

昨年12月、バズダリッチがグリーンポイントに開店した「Xilonen」は、ベジタリアンのメキシカンダイニングだ。パンデミック中の今だからこそ世間にサステナブルな食を伝えたいと思い立ち、チーズや卵は使いつつ肉を一切使わない“ほぼヴィーガン”にこだわったのだという。店構えはカフェ風だが、供される皿はどれも今まで見たことがないような斬新な料理ばかりだ。あえて代替肉を使わず、メインの素材はニンジンやポテト、マッシュルーム、豆など素朴な味わいの野菜や穀類で勝負しており、伝統的なスパイスやサルサを駆使して奥行きのあるうま味を実現。厳選したエアルーム種のコーンで作ったという自家製トルティーヤと一緒に堪能すれば、肉好きの人も野菜のもつポテンシャルの高さに圧倒されられるはず。さらに、チュロスやシナモンロールなど不定期で新作が登場するペストリーも大評判で見逃せない。現在は店内収容人数に規制があるため、朝から夜までメニューが10品前後に限定されているが、通常営業が可能になれば、今以上にあっと言わせる料理が登場するだろう。サステナブルかつ独創性に富んだこのベジタリアンメキシカンは、ニューヨークの今を象徴する1軒として注目したい。

小松優美
ニューヨークの食、デザイン、カルチャーを分野に活動ライター&プロデューサー。飲食店の激戦区イーストビレッジ住まいで体重増加中。

本記事は雑誌料理王国2021年6月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2021年6月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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