食の未来が見えるウェブマガジン

「料理の肝はスープ」 にしぶち飯店 西淵健太郎さん


30歳の若さで独立した西淵健太郎さんは、Chef of the Year 2017「若手シェフ」部門で注目されたひとりだ。票を投じたシェフからは「緩急自在な料理に元気を感じる」とのコメントが寄せられている。焼豚にブルーチーズをのせた独創的な皿も魅力だが、あえて注目すべきは王道の「フカヒレの土鍋煮込み」だ。

活気や楽しさに惹かれて中華の世界に身を投じた西淵さんは、さらに和食を勉強したいと考えて「祇園さゝ木」の門を叩いた。学ぶことは多かったが、佐々木浩さんに言われた言葉が今も心に残る。「素材は買えるがスープは売っていない。スープをしっかり取れるのが料理人や」。

注目店のこのひと皿

フカヒレは必ずコースに組み込む

西淵さんの料理を支える屋台骨は、6時間をかけてとる澄んだきれいな上湯。ここに適宜調味料を加えて使用する。旨い上湯をたっぷり含んだフカヒレは、西淵さんいわく「一番おいしい食べ方」だ。祇園の路地裏にひっそり佇む一軒で、確かな技の中国料理コースを楽しみたい。

もっとも中華の技が活かせる素材のひとつ。煮込み以外にもステーキなど姿を変えて登場する。産地は肉厚で品物が安定している気仙沼を選んだ。

にしぶち飯店 西淵さんによる「フカヒレの土鍋煮込み」の一皿。
フカヒレの土鍋煮込み

1日かけて戻したフカヒレを自慢の上湯で1日煮込み、1日寝かせる。同じ上湯に調味料ととろみを加え、最後に熱したネギ油で香りを付けた。青梗菜とモヤシで食感もプラス。

中華も出汁が命

旨味をいっぱいに含んだクリアな上湯が料理の軸。鶏、豚、金華ハム、野菜類を使い、6時間ほどかけてじっくりと味を引き出す。

にしぶち飯店 西淵さんが、フカヒレの土鍋煮込みを調理中。オイスターソース、醤油などで上湯の味をフカヒレ用に調える。

オイスターソース、醤油などで上湯の味をフカヒレ用に調える。とろみをつけ、煮込んだフカヒレにかけて温め、熱々をテーブルへ。

にしぶち飯店 西淵健太郎さん

西淵健太郎/Kentaro Nishibuchi
1983年京都府出身。
高校時代から中国料理人を志し、京都ブライトンホテル「花閒」にて6年、日本料理「祇園さゝ木」にて5年間経験を積む。2013年「にしぶち飯店」開店。

にしぶち飯店
京都市東山区上弁天町444-2
075-561-1650
● 18:00~21:00入店
● 日、祝日休
● コース16000円 生ビール1000円グラスワイン1200円~
● 10席

藤田アキ=取材、文 三國賢一=撮影

本記事は雑誌料理王国271号(2017年3月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は271号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは、現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする