東京・乃木坂の人気店「ラリングアオチアイ」が、6月、「パーネアモーレ」として新たにオープンした。シェフに迎えられたのは、マルケ州を中心にイタリアの名店で年間修業し、今年2月に帰国したばかりの井関誠さんだ。彼がこの店で提案するのは、アドリア海中部地方に伝わるひと皿完結スタイルの「ピアットウニコ」である。
「海に面したマルケ州では、卵麺と魚介を合わせることが多い。ピアットウニコは、修業時代にアンコーナの街のレストランで毎週のように食べ親しんだパスタ。自分だけの皿として再現したいと思ったんです」「キタッラ」はセモリナ粉と、長野県産の小麦粉をブレンドして打つ。配合は日々、試行錯誤している。「生産者の顔が見える確かな日本の食材を使いながら、イタリアで培った味をどこまで表現できるか挑戦したい」と意欲を見せる。干しダラと野菜の旨味が染み込んだ濃厚なパスタは、味もボリュームも現地そのもの。「ワインと合わせる前提なので、塩分もほぼ変えていません」と笑った。
港町アンコーナの伝統料理、干しダラの煮込みと手打ちキタッラを、ひと皿に盛り付けた「ピアットウニコ」。キタッラは、イタリア産セモリナ粉に「ラリングアオチアイ」時代から野菜を取り寄せている佐久市「ゆい自然農園」の無農薬小麦粉を約1割配合。しなやかな食感 の麺に魚介の旨味が染み込んだ、迫力あるひと皿だ。
材料(8人前)
干しダラ…800g
オリーブオイル…300mℓ
タマネギ…50g
ニンジン、セロリ…各30g
ニンニク…20g
ローズマリー…3g
白ワイン…150g
ミニトマト… 300g
トマトダイスカット缶…800g
水…1200g
ジャガイモ…800g
●手打ちキタッラ
セモリナ粉…700g
国産無農薬小麦粉…75g
卵黄…500g
水…50g
作り方
1. 手打ちキタッラを作る。材料を混ぜ、パンこね機などパワーのあるものでしっかりとこねる。12時間休ませてから、専用のキタッラで約3mm幅に切る。
2. 干しダラのアンコーナ風を作る。干しダラはひと晩水につけ、塩を抜いておく。掃除して5cm幅にカットしておく。
3.タマネギ、ニンジン、セロリをみじん切りにして、フライパンでオリーブオイルとともに炒める。少し色がついたら、ニンニクのみじん切りを加えて炒め続ける。
4. 干しダラの皮目を下にして加え、鍋肌に当てるように炒める。ローズマリーのみじん切りを加え、白ワインでフランベする。
5.ミニトマトを加え軽く炒め、トマト缶と水を加え30分煮込む。ジャガイモのくし型切りを加え、やわらかくなるまで煮る。
6. 仕上げをする。手打ちキタッラを約3分固めにゆで、5に加える。ソースを強火で手早く乳化させ、皿に盛り付ける。
Makoto Iseki
1978年広島県生まれ。ピエモンテ州やトスカーナ州などの星付きレストランで10年間修業。特にマルケ州の「マドンニーナ デル ペスカトーレ」では、モレーノ・チェドローニ氏の薫陶を受けた。今年2月、A.I.Sソムリエ資格を取得し、帰国。
小林 薫=取材、文 伏木 博=撮影
本記事は雑誌料理王国2014年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2014年8月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。