「レストランティーノ ルベロ」十勝ハーブ牛を使用した絶品レシピ2


雑味がなく奥行きのある味。内臓までが
料理人を刺激し調理の可能性を広げる

北海道・十勝の透き通った空気の中で、大雪山系の伏流水をたっぷり飲み、ハーブ入りのエサをいっぱい食べて育つ「十勝ハーブ牛」。そのトリッパとイチボを使った料理に、東京・目黒の人気店「リストランティーノ ルベロ」のシェフ、森陽介さんがチャレンジした。

バランス良くサシが入った日本人の嗜好に合う牛肉

「初めて食べたとき、ほどよくサシが入っていて、日本人の舌にはよく合う牛肉だな、と思いました」

森さんが挑んだのは、「十勝ハーブ牛」の良さを十分に活かしつつ、ゲストを楽しくさせる料理だ。サシが多すぎないイチボは焼くだけでおいしいので、余計なことはしない。一方のトリッパは、ひと手間かけてカツレツにすることで、食べ手の意表をついてみせた。

「トリッパのカツレツは数日前に思いついて試してみたら、おいしくて我ながらびっくり。お客様にお出ししたら喜んでいただけたので、メニューに入れてしまいました」と森さんは笑顔を見せる。

個人的には、噛みごたえのある赤身の肉が好きだと言う。しかし、一般的に日本人は、霜降り肉を好む傾向が強い。森さんも、試行錯誤を繰り返している。「ところが十勝ハーブ牛は、赤身肉と霜降り肉のちょうど中間に位置するような肉だと感じました。今使っているのはトリッパとイチボだけですが、肩肉やホホ肉は、赤ワインで煮込んでもおいしいんじゃないかと思います」

「十勝ハーブ牛」はエサにハーブを入れて育てているため、肉はもちろんホルモンもおいしいと評判だ。それが、牛肉料理のレパートリーを格段に広げてくれるに違いない。

健康的に育った牛だから安心・安全。アミノ酸も豊富
交雑種の一産牛(出産を1回経験した牛)を通常より長めに肥育(32カ月以上)することで、赤身中のアミノ酸含有量が増加する。一方、消化器官を活性化させ、ストレス軽減などの効果もあるハーブを混ぜたエサを食べさせることで、牛たちは食欲が増してより健康的に育つ。薬に頼らない安心で安全な肉になるというわけだ。

【レシピ】十勝ハーブ牛 トリッパのコトレッタ

トリッパは、クールブイヨンで煮たあとに、タマネギやニンジン、ホールトマトなどとともに煮込んで寝かせる。適度な大きさに切ったトリッパにチーズやニンニク、フレッシュハーブなどを混ぜたパン粉をまぶし、卵をつけて、さらにパン粉をまぶして揚げれば、〝トリッパのカツレツ"のでき上がり。サクッとした衣の歯ごたえと、トリッパ独特の歯触りが面白い。トリッパにしっかり味がついているので、ソースをつけなくてもおいしい。

十勝ハーブ牛をこう使う【トリッパ】

沸騰した湯に入れくさみを取リ除く
トリッパは、沸騰した湯に入れ、10~15分ゆでてくさみを取ることが大事。

クールブイヨンで煮込み、味をつける
タマネギやニンジン、セロリ、白ワインなどとともにトリッパを煮込む。塩はしっかり入れて、トリッパに味をつける。

トマト煮したトリッパをコトレッタに
チーズ、ニンニク、フレッシュハーブを混ぜたパン粉をつけ、卵をつけたら、またパン粉をまぶして揚げる。

材料

十勝ハーブ牛のトリッパ…3㎏
◦クールブイヨン
タマネギ…3個/ニンジン…2本/セロリ…5本/白ワイン…500㏄/水…9ℓ/ローリエ…5枚/ニンニク…5個/黒コショウ…15粒/セロリの葉、塩…各適量
◦トマト煮用
タマネギ…2個/ニンジン…1本/セロリ…5本/トマトホール…1缶/白ワイン…500㏄/ブロード…500㏄/ローリエ…5枚
◦香草パン粉
ドライパン粉、グラナーパダーノ、ニンニク、タイム、ローズマリー、イタリアンパセリ、ディル…各適量
◦仕上げ用
香草入りサラダ、ジュードベベ、塩、レモン、エクストラヴァージンオリーブオイル、パルミジャーノ・レッジャーノ…各適量


作り方

1.トリッパのくさみをとる作業をする。トリッパを10分~15分まず下ゆでして、その後よく洗う。
2.クールブイヨンを作り、トリッパを入れる。1時間から1時間半ゆでて、香りと味をつける。
3.トリッパをトマト煮にする。まず、トマト煮用のニンニク、タマネギ、ニンジン、セロリをソフリット(炒め煮)する。カットした2のトリッパを入れ、白ワインを注いでしっかりアルコール分を飛ばす。ブロードを加えてアクを取る。さらに、トマトホールを入れローリエを加えて煮込む。
4.コトレッタを作る。3のトマト煮したトリッパに、香草パン粉、卵(分量外)、香草パン粉の順に衣をつける。少し多めのオイルで両面を色づける。
5.仕上げをする。香草の入ったサラダは塩、レモン、エクストラヴァージンオリーブオイルで味付けをし、ジュードベベ(トマト)は塩、エクストラヴァージンオリーブオイルで味付けをする。4のコトレッタを皿に盛り、パルミジャーノ・レッジャーノで仕上げる。

【レシピ】十勝ハーブ牛 イチボのビステッカ

肉の旨味が詰まったビーフステーキ。温かいところでゆっくり寝かせ、肉汁を肉のなかに回すのがポイントだ。肉の旨味を余すところなくゲストに食べていただく――これぞ、プロの料理人の心意気でありテクニックの見せどころである。

十勝ハーブ牛をこう使う【イチボ】

旨い肉をシンプルなソースで
ほどよくサシの入ったイチボ。ソースは、ニンニクや松の実、黒オリーブなどをエクストラヴァージンオリーブオイルで火を入れたシンプルなもの。

マルドンの塩に数種のハーブを加えた香草塩を下味付けに使用

材料(2人分)
十勝ハーブ牛イチボ肉…150ℊ/レモン…適量
◦サーレ プロフマート(香草塩)
塩(マルドン)(半分は細かく)、タイム、ローズマリー、イタリアンパセリ…各適量
◦ソース(2人分)
ニンニク(みじん切り)…1/ 2個/松の実…20 粒/黒オリーブ…5個/ドライトマト…1枚/イタリアンパセリ、エクストラヴァージンオリーブオイル…各適量

作り方
1.イチボは、適度な大きさに切り分け常温にもどしておく。
2.香草塩(サーレプロフマート)をしてフライパンでしっかりと焼き色をつける。
3.200℃のオーブンに入れる(2分)。次に温かいところでねかせる。これを3度繰り返す。
4.ソースを作る。ニンニクのみじん切りとエクストラヴァージンオリーブオイルを鍋に入れゆっくり火を入れ色づける。松の実、ドライトマト、黒オリーブを入れ、最後にイタリアンパセリで香りをつける。
5.仕上げをする。3のイチボをカットして付け合せとともに盛り付ける。4のソースをかけて、香草塩とレモンを添える。

Yosuke Mori

調理師専門学校を卒業後、東京・外苑前の「イル・カミネット」で3年半働いたのち、「リストランテ・ダ・フィオーレ」のオープニングにスタッフとして参画。その後、「ピッツェリア・アリエッタ」でシェフを務める。2013年に「リストランティーノルベロ」のシェフに就任。

リストランティーノ ルベロ
Ristorantino Lubero

東京都品川区上大崎3-5-18
☎03-5421-5518
●12:00~15:00
(13:00LO)(土日のみ)
●18:00~23:30LO
(日~23:00〈22:00LO〉)
●月休
●コース 昼3900円(税込)~
夜6000円(税込)~

山内章子=取材、文 絵鳩正志=撮影

本記事は雑誌料理王国242号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は242号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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