それぞれの部位の特徴を活かし、一つの料理に仕立てた「イノシシのカイエット」 roku 笹川慎平シェフ 23年4月号


普段はなかなか見ることができないシェフ達の手元がしっかり映っていて分かりやすく、プロにもアマチュアにも支持されているYou Tubeチャンネル「料理王国」。23年4月号では、東西のフレンチシェフの技術を収録。ぜひ、本誌やWEB記事と併せて動画もご覧ください。

藁を敷いたココットで蒸し焼きにして、優しい香りをまとわせる。
付け合わせも長野ならではの材料や伝統食品を多数使用。

東京・代々木公園界隈。話題の飲食店が集うこのエリアで、参宮橋駅からすぐの場所に2020年秋にオープン。カウンター6席の小さなフランス料理店の厨房に立つオーナーシェフの笹川慎平さんは、長野県木祖村の出身。豊かな自然が残る山の恵み豊富な地であり、笹川シェフは普段から積極的に地元の素材を活用している。

長野県産の食材で料理!
メイン食材はイノシシ。地元とは頻繁に連絡を取り合い、ジビエに関しては猟友会の方を通じ、適切な食肉処理施設から取り寄せている。今回は大人のメス。手前は柔らかく程よい歯応えのあるモモ肉、右奥は脂もあり噛み応えのあるバラ肉。それぞれの部位の特徴を活かして、料理へ応用する。左奥は脂を半年かけて塩漬けにし、ラルドにしたもの。付け合わせに少量しのばせてコクをプラス。骨や端肉もソースに活用し、余すところなく利用する。

今回は地元で捕れたイノシシを使ったフランス南部の郷土料理、カイエットを披露してもらった。中に入れるのも、それを包むパテ肉もイノシシを使った一品だ。パテ肉に使うのはバラ肉。キノコのデュクセル、タイム、ローズマリーと合わせ、エシャロット、クルミ、ニンニク、春菊、菜花を加え、粘りが出るまで練る。つなぎを入れないので、このときにしっかりと練ることが肝要だ。そうしてモモ肉を覆い、クレピーヌで包む。ラップをして冷蔵庫に3時間入れて、カイエットをしめる。オリーブオイルをひいたフライパンで表面を焼いたら、藁を敷いたココットに入れ蓋をし、175℃に温めたオーブンで15分焼く。5分休ませたら、でき上がりだ。付け合わせも、イノシシの脂を使った自家製ラルド、乳殺菌発酵させた地元に伝わる漬物のすんき、もち麦、蕎麦の実、香茸、奥谷農園の卵、ルバーブ、実家の畑で作ったメークインなどを使う、長野尽くしのひと皿だ。

バラ肉を切ってマッシャーで挽く。
粘りが出るまで練る。
モモ肉を芯にクレピーヌで包む。
フライパンで表面を焼く。
藁を敷いたココットに入れ、オーブンで蒸し焼きに。
バランスよく盛り付ける。

roku 笹川慎平

東京都渋谷区代々木4丁目1-6 1F
TEL:03-6276-8454
11:00~14:00(LO)
18:00~21:30(LO)
水・不定休

text:Noriko Hane photo: Yusuke Onuma

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